EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則第6条3項にはポリマー自体に登録の必要はないとされています。しかし、ポリマーを構成しているモノマーがポリマー中に2wt%以上含まれ、しかも、EU域内への製造・輸入量が年間1t以上の場合には、モノマー成分単位での登録が必要になります。
貴社が輸出を計画しているポリマー中のモノマーが上記の条件に当てはまる場合は、モノマーの登録をEU域内の輸入者あるいは唯一の代理人を通じて欧州化学品庁(ECHA)に行わない限りEU域内へ輸出することはできません。ただし、EINECSに収載されているモノマーに関しては段階的導入物質と見なされることになり、予備登録がされているかいないかで対応が分かれます。
2008年12月1日までに予備登録されていれば、登録期限は輸出量に応じて変わりますが、1t以上で最長の2018年5月31日まで猶予されることになります。100t以上の場合は、2013年5月31日が登録期限です。なお、1000t以上の登録期限は2010年11月30日で終了しています1)。
予備登録されていず、2008年12月1日以降に初めて1t以上輸出する場合は遅延予備登録することが可能です。遅延予備登録は、1t以上の物質を輸出してから6カ月以内、かつトン数に定められた登録期限の12カ月前までに行う必要があります。
遅延予備登録を行うことで1の場合と同じ期限の利益を得ることができます。ただし、100t以上の場合、現時点で登録期限の12カ月前の期限が過ぎておりますので、遅延予備登録を行うことができないことには注意が必要です。
なお、新規モノマーについては、1t以上になる前に登録が必要です。
次に中国へ輸出する場合に関してですが、中国にポリマーを輸出する際には中国新化学物質環境管理弁法が適用されます。
中国新化学物質環境管理弁法では、現有化学物質名録に未収載のポリマーの場合には、中国国内で登記された代理人を通して環境保護部の化学品登記センターにポリマーの申告をすることが必要です。申告には通常申告・簡易申告・科学研究記録申告があり、輸出量によって変わります。現有化学物質名録に未収載のモノマーの含有量が2%未満のポリマー、あるいは低懸念ポリマーに関しては特別に簡易申告することが認められており、輸出量による制限はありません。
このようにEUがモノマー単位での登録が必要なのに対して、中国ではポリマー単位での申告が必要になるなど適用対象が異なっています。ポリマーの輸出の際にEUと中国では化学物質管理上の取り扱いが異なることに注意してください。
注1)http://echa.europa.eu/documents/10162/13632/polymers_en.pdf