EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
ご質問にある物流過程で添付される「荷札的なラベル」については、貴社が添付するもの以外は貴社は管理できないため、それを添付する事業者に法規制への対応責任があるものと思われます。
したがいまして、ここではEUの包装材指令およびREACH規則で包装材がどのように取り扱われるかを説明します。
EUの包装材指令における「包装材」の定義は、「製造者から使用者または消費者への、原材料から加工品に至るまでの物の封入、保護、取り扱い、配達および贈呈のために使用されるあらゆる性質のあらゆる材料によって作成されたあらゆる製品を意味する。同じ目的で使用される『ワンウェイ(Non-returnable)』品目も、容器包装であると見なすものとする」(同指令第3条)となっています。したがって、「荷札的なラベル」などは同指令の対象になると考えるべきでしょう。
包装材指令における許容濃度について、第11条1項に「加盟国は、包装材または包装材部品に含まれる鉛、カドミウム、水銀および6価クロムの濃度レベルの合計が100ppmを超えないことを確実にしなければならない」となっています。
「包装材部品」とは物理的に分解できる程度の単位で、例えば、粘着テープは基材と粘着層に分ける必要はありませんが、ダンボールに接着している場合はダンボールとテープに分けて算出する必要があります。つまり、貴社が添付する送り状などのラベルそのものが、一単位に見なされる可能性があります。
一方、REACH規則においては、「成形品中の物質に関する要求事項に関するガイダンス(Ver.2)4.2. 第7条(2)に従った届出」で指針が示されています。それによると、「成形品中の物質を届け出る義務は、輸入された商品の包装として別個に製造または輸入される可能性のある包装材にも適用される。包装はそれが含む対象物とは別に評価されるべきである」と記載されています。
「荷札的なラベル」が1つの成形品と見なされる場合には、含まれているSVHCの濃度が0.1%を超えているかを確認します。0.1%を超えている場合には、REACH第33条で規定される「成形品に含まれる物質に関する情報伝達の義務」が発生します。
さらに、0.1%を超えて含まれている梱包材については、その年間当たりの含有量を算出します。その結果、年間1t以上である場合には届出が必要となります。
なお、REACH規則おける成形品の義務についての詳細は、REACH規則の基礎「成形品の義務」をご参照下さい。