EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
お問い合わせにありますようにEU REACHの場合はポリマーには登録義務はなく、ポリマーを構成する2%以上のモノマーについて、既存や新規の区別なく年間1t以上の場合に、モノマーあるいはポリマー製造者により(予備)登録されていれば、ポリマーの輸出ができます。
他方、中国に輸出する場合は、ポリマーが「現有化学物質名録」に収載されていない場合、当該ポリマーを申告する必要があります。申告は、ポリマーの輸出者である貴社の顧客が中国内で登記された代理人を通じて行う必要があります。
申告には次に示す3種類があります。
1.通常申告
新規化学物質の年間の生産量又は輸入量が1t以上の場合に行う申告です。1級(10t未満)から4級(1,000t以上)までの4段階の数量等級があり、等級が上がるほど、より多くの試験データが求められます。
2.簡易申告
新規化学物質の年間の生産量又は輸入量が1トン未満の場合に行う申告です。
ただし、以下の特殊な状況の場合、特殊状況の証明資料を提出すると、簡易申告で要求される中国での生態毒性試験が免除されます。
(1)中間体として使用する、又は輸出のみに使用し、年間の生産量又は輸入量が1t未満の場合
(2)科学研究を目的とし、年間の生産量又は輸入量が0.1t以上1t未満の場合
(3)新規モノマー含有量が2%未満のポリマー又は低懸念ポリマーの場合
なお、低懸念ポリマーとは以下の何れかに該当するものです。
3.科学研究記録届出申告
次の何れかに該当する場合に行う申告です。
(1)科学研究を目的とし、新規化学物質の年間の生産量又は輸入量が0.1t未満の場合。
(2)中国国内で中国の供試生物を用いて新規化学物質の生態毒性学的特性試験を実施するために輸入した新規化学物質の試験用サンプルの場合。
以上のように、貴社の顧客がポリマーを中国に輸出する場合は、「現有化学物質名録」に収載されていないポリマーであれば、申告対象となり、上述の申告方法に従い申告することになります。
通常申告、簡易申告を行う場合は、最初に中国で生態毒性試験を行うために科学研究記録届出申告を行う必要があります。特殊状況を満足する場合は、中国で生態毒性試験データは免除されますので、簡易申告を直ちに行うことができます。
当該ポリマーが他の事業者から新規化学物質として登記されても、登記後5年間は「現有化学物質名録」に収載されません。「現有化学物質名録」に収載されるまでは申告が必要となります。簡易申告による登記及び科学研究記録届出申告の場合は「現有化学物質名録」には収載されません。