EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2012年9月2日に意見募集が行われたcandidate listsに収載する54物質の中の、ご質問の硝酸鉛や酸化鉛については、そのものが成形品に含まれる場合と、例えば、ガラスの原料として用いられる場合に分けて説明します。
1.成形品の原料としての混合物等に含まれる場合
硝酸鉛や酸化鉛等の用途としては、プラスチック顔料として用いられる場合があります。この場合は、成形品中のSVHCに課せられた下記の義務への対応が必要になります。
今後新たに認可対象候補物質(SVHC)に特定される物質)が貴社の成形品に含まれている場合には、特定されてから6カ月以内に以下の2つの対応が義務づけられます。
(1)SVHCに関連する届出義務
成形品の最初のEU内生産者または輸入者が対象となり、以下の条件を満たす場合、届出が必要となります。
なお、上記のような顔料も含めて鉛化合物については多くの規制があります。代替ができる用途については、代替物質を検討されることが必要と考えますが、代替えが困難である場合を想定して、以下のような準備もするべきと考えます。
i)現状把握
貴社が製造する製品に、今後SVHCに特定される可能性のある物質が含まれているかを確認します。含まれている場合には含有量の確認、および年間取扱量を算出します。
ii)物質情報の収集
上述の基準超える(または超える可能性のある)物質があれば、届出および情報伝達のための準備をする必要があります。具体的には、貴社のサプライヤーなどから、届出などに必要な情報を収集しておくことが考えられます。具体的には、サプライチェーンの川上である、サプライヤーより提供されるMSDSやAIS(JAMPが推奨する製品含有化学物質情報伝達シート)のデータなどを活用する方法があります。
また、四酸化三鉛のような鉛電池の電極に用いられる場合も、上記の義務への対応となります。 なお、SVHC含有情報提供に対応するためのGC/MSやLC/MSなどによる精密分析には多額のコストがかかりますが、鉛などの金属では蛍光X線分析による簡易分析で対応することも可能な場合がありますのでご検討下さい。
2.ガラス原料等のとして中間体として用いる場合
例えば、酸化鉛等を原料に用いたガラスは、ガラスそのもがUVCBとして、原料の酸化鉛等と異なる物質と見なされています。ガラスそのものがSVHCとして特定されていなければ、 酸化鉛等を含有することによるREACH規則の義務はありません。