EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
デンマークは2011年に附属書XIVに収載されている認可対象物質、DEHP〔フタル酸ビス(2-エチルへキシル)〕、DBP(フタル酸ジブチル)、BBP(フタル酸ブチルベンジル)、DIBP(フタル酸ジイソブチル)の4種のフタル酸エステルを0.1wt%以上含有する室内で使用する成形品、および皮膚や粘膜と接触する可能性のある成形品の上市を制限する提案をREACH規則の第68条によりECHAに対して行いました。
2012年6月のリスク評価委員会(RAC)において4種のフタレートに対し、デンマークが主張する組合せによる曝露のリスクは現時点では認められないとの結論が出されました。また、社会経済性評価委員会(SEAC)においてもRACと同様に提案は正当化されないという意見をまとめ、意見募集の結果を最終意見に反映し、今年の12月15日までに取りまとめる予定です。欧州化学物質庁(ECHA)では、RACとSEACの最終意見を欧州委員会に提出し、制限案の採否を決定する見込みです。(Q346参照)
RACやSEACにおいて何れも4種のフタレートのリスクを現時点では認めていないことからEUでの提案は見送られる可能性が高いことに対して、デンマークは自国内での科学的な根拠をもとに、今秋に自国内で独自に規制強化する方針を打ち出しています1)。
この手続きは次のように行われます。
REACH規則は欧州議会と理事会により、欧州共同体設立条約 (EC条約) および特にその第95条を考慮に入れ条約第251条に定める手続に従って制定されました。
2009年12月1日に発効したリスボン条約により、既存の「EU 条約」および「欧州共同体設立条約」は一体的に改定されています。「欧州共同体設立条約(EC条約)」は「EU 運営条約」に名称が変更され、EC条約95条は、「EU 運営条約」の第3章「法律の調和」の114条に移行しています2)。
EU 運営条約114条では、EUの法律が採択された後に、加盟国が自国の特有の問題を理由に、新たな科学的根拠に基づいて国内規定を導入することが必要である時には、その導入する規定および理由を欧州委員会に通知することができます。
デンマークの独自規制は、EU 運営条約114条によるもので、EU委員会は提案を受けて審議することになります。化学物質カクテルが再度論議される可能性があります。
1) http://www.euractiv.com/consumers/danish-minister-bans-endocrine-d-news-514424
2) http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2010:083:0047:0200:EN:PDF