EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
EU REACH規則ではポリマーに登録義務はなく、ポリマーを構成するモノマーに関して既存や新規の区別なく以下の1と2の両方に該当する場合には登録が必要となります。
そもそもポリマーとは、1種類またはそれ以上のモノマー単位の連続により特徴付けられる分子によって構成される物質をいいます。これらの分子は、その分子量の差が主にモノマー単位の数の差の分子量分布を有していなければなりません。ポリマーは以下のものからなります。
ポリマー中のモノマーが上記の条件に当てはまる場合は、モノマーの登録をEU域内の輸入者あるいは唯一の代理人を通じて欧州化学品庁(ECHA)に行わない限りEU域内へ輸出することはできません。
EINECS(European Invetory of Existing Commercial Chemical Substances:EU既存商業化学物質インベントリー)に収載されているモノマーに関しては段階的導入物質と見なされることになり、予備登録がされているかいないかで対応が分かれます。
予備登録も登録もされていないモノマーに関しては、以下のような対応が必要となります。
2008年12月1日以降に初めて1t以上輸出する場合は遅延予備登録することが可能です。遅延予備登録は、1t以上の物質を輸出してから6カ月以内、かつトン数に定められた登録期限の12カ月前までに行う必要があります(REACH規則28条6項)。
遅延予備登録を行うことで、最長の2018年5月31日まで猶予されることになります。100t以上の場合は、2013年5月31日が登録期限ですので、遅延予備登録はできません。1000t以上の登録期限は2010年11月30日で終了しています1)。従い、100t以上になる場合は、直ちに登録の手続きが必要となります。
仮にELINCS(European List of Notified Chemical Substances:1981年11月以降にEC域内に届け出られ上市された届出化学物質のリスト)届出物質であっても、登録に関しては動物試験を回避するために情報共有が求められますので、第26条で規定する潜在的登録者として同一物質の登録有無を化学物質庁(ECHA)へ照会する必要があります。WebサイトでCAS番号、化学品名、EINECS番号等で検索可能です。
第27条で潜在的登録者と前の登録者は情報共有のための費用を公正、透明に決定する努力するとしており、費用分担が発生することを意味しています。費用分担に合意すれば直ちに前の登録者の完全調査報告書を引用の許可を得ることができます。
予備登録完了事業者は2018年6月1日までSIEF(Substance Information Exchange Forum:物質情報交換フォーラム)の一員となり、SIEFの活動に参加する必要があります。SIEFは「登録の目的のために潜在的登録者間で指定された 登録情報の交換を容易にし、調査の重複を避ける」、「潜在的登録者間に物質の分類と表示が相違する場合に分類と表示を合わせる」ことを目的に設立されます。
登録済、未登録によらず、登録した事業者のデータの使用に関して交渉する必要があります。データを共有する事業者は、公正かつ透明性を持ち公平な方式で情報共有コストを決定する努力を図ること、とされています。参加してデータを共有することができます。
1)http://echa.europa.eu/documents/10162/13632/polymers_en.pdf