EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
化学物質の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)は、化学物質の分類と表示を定めた世界基準です。
GHSでは、危険有害性を情報伝達する際のラベルの表示方法や安全性データシート(SDS)の記載方法を定めています。各国はこの国連の勧告にしたがって化学物質の分類・表示義務を法制化し、各国の法律で罰則を規定しています。
GHSの対象範囲は、化学物質の輸送時、化学物質を扱う作業現場、最終製品を使用する消費者者など多岐に渡るため、多くの場合、複数の法律に適用され、それぞれの法律に罰則が示されています。主な法規制を以下に例示します。
EUは、2009年1月20日に発効したCLP規則でGHSを導入し、REACH規則で導入された分類・表示インベントリーを包含するようになりました。
CLP規則第47条では、「各加盟国は本規則の不遵守に対する罰則を導入するとともに、本規則が確実に適用されるようあらゆる必要な措置を取らなければならない」と定めており、加盟国の国内法により不遵守に対する罰則を求めています。
例えばドイツでは、ラベル表示の不備などの情報伝達等義務の不遵守の場合は「10万ユーロ以下の罰金または2年以下の懲役」としています。
なお、CLP規則には移行期間が設けられており、物質の場合は2010年12月1日にCLP規則に移行済みです。混合物の場合は、2015年6月1日までは指令1999/45/ECが適用され、2015年6月1日以降はCLP規則が適用されます。それぞれの対応に不備があると罰則対象となります。
中国では「化学品表示編纂規定」(GB15258)がGHS対応を規定した国家基準のひとつです。
罰則については、例えば、「危険化学品安全管理条例」の第78条4項では違反に対して改正を命じるとともに、5万元以下の罰金を科すことができる。さらに改正を拒否するものには、5万元以上10万元以下の罰金を科すとしています。
物質、混合物とも2011年12月1日以降、ラベル表示に「24時間対応可能な応急手当時の問い合わせ電話」の記載もれなどの不備があると罰則対象となります。
主要な対象法令は以下の通りです。
GHSに準拠したラベル表示とSDSの記載内容は「化学物質の分類・表示および物質安全情報資料に関する基準」(雇用労働部告示第2012-14号)で規定していますが、罰則については、例えば産業安全保健法において有害物質の表示不備の場合、500万ウォン以下の罰金に処するとしています。
物質については2010年7月1日から、混合物については2013年7月1日以降GHS対応に不備があると罰則対象となります。
台湾では国家規格である化学品分類及標示(CNS15030)にて2151物質(2013年4月現在)のGHS対応を定めています。
主要な対象法令は以下の通りです。
罰則については、例えば労働安全衛生法では危険物および有害物の表示違反の場合、新台湾元3万元以上6万元以下の罰金に処すと規定されています。
上記の国々の他にもGHSの導入が進行中または検討中の国々が多数ありますので、各国の今後の動向に注視する必要があります。