EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
ご質問の樹脂のコンパウンドは、ポリマーとこれを改質するために添加された物質のそれぞれがREACH規則の適用対象になります。また、コンパウンドについては、CLP規則が適用になる場合があります。
REACH規則ではポリマー自体に登録の必要はありませんが、ポリマーを構成する2wt%以上のモノマーが、年間1t以上の場合にモノマーの登録が必要になります。また、コンパウンドの添加物に関しても年間1t以上の場合には登録が必要になります。
ポリマーを構成するモノマーについては、モノマーメーカーあるいはポリマーメーカーが、添加物についてはその製造者が登録していれば、貴社に登録の必要はありません。しかし、貴社の川上のサプライチェーンのいずれのメーカーにおいても登録されていなければ、貴社が登録しなければなりません。
すなわち、EUへ輸出する場合は物質そのものだけでなく、混合物(ご質問のケースではコンパウンド)中の物質(ポリマー中の2wt%以上のモノマー,および添加物)が年間1t以上ですと、そのサプライチェーンの物質の製造者だけでなく、ポリマーの製造者あるいは混合物の製造者のいずれかで登録することが必要です。登録はEU域内の唯一の代理人(OR)が行います。
なお、樹脂の可塑剤として広く使用されるフタル酸エステルのいくつかの化合物は、REACH規則附属書XIVの認可対象物質として指定されています。認可対象物質に指定されている場合、その物質に特定されたsunset date(日没日)以降、認可を取得していないとEU域内では使用できないので注意が必要です。
登録していなければ年間1t以上では輸出できません。ただし、当該モノマーや添加物がEINECSに収載されている既存化学物質で、年間100t以下の場合は、輸出後6カ月以内、かつ2017年5月31日までに遅延予備登録をすれば、2018年5月31日までの登録でよいことになっています。
また、ポリマーについてはREACH規則の登録義務はありませんが、ご質問のコンパウンドが一定のCLP規則の基準に従い危険有害性に分類される場合、CLP規則にもとづくラベル表示は不要ですが、SDSを用いて危険有害性の情報を川下使用者や流通業者に提供する必要があります。