EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則では、年間1t以上の化学物質の製造・輸入には登録義務を課しています。その目的は化学物質に関する情報を収集し、危険有害性のある化学物質については人の健康や環境への有害な影響を防ぐことであり、そのための措置も設けられます。
また、川中企業や川下企業に危険有害性のある化学物質が提供される場合には、サプライチェーン内でこれらの化学物質が安全に使用されることを確実にするために、危険有害性の情報を安全性データシート(SDS)により伝達することが求められています。
登録は、製造者・輸入者ごとに年間1t以上の物質(混合物の場合は構成物質、ポリマーの登録は不要ですがポリマー中に結合した状態で2wt%以上含まれる構成モノマーや成分)が必要です。EU域外の製造者は、EU域内の任命した唯一の代理人に依頼して登録ができます。
登録されますと、個々の物質に登録者ごとに登録番号が付与されます。この登録番号では、下4桁は登録者を特定する情報になっています。
川下企業からの登録番号の問い合わせは、使用されている化学物質がREACH規則を順守して製造・供給されているかを確認するものです。川下企業がEUへ1t以上の物質を輸出するには自分自身で(予備)登録するか、すでに(予備)登録されていることが必要です。
登録番号についてはSDSに記載することが求められています。
化学物質を購入して混合物を製造し、供給する場合、登録番号を記載しますとその購入先が明らかになり、企業秘密を開示することになります。このような場合は登録者を特定する登録番号の下4桁を非開示にすることや、必要な場合には供給者に登録番号を管理当局に管理を依頼することにより、非開示にすることができます。
なお、1t未満の物質や附属書IVや同Vに該当する物質については登録が免除されていますので、登録番号はありません。混乱を避けるためにSDSに登録番号がない理由を記載することがよいとされています1)。
また、ポリマーについては登録が免除され、登録番号がありませんが、2%以上の構成モノマーが1t以上ですと登録が必要になります。この場合はモノマーの供給者に、必要がる場合は上記のような方法で登録番号の開示を要請するか、登録がされない場合は自身で登録が必要です。