EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則の附属書XVIIでは、ニッケルに関する制限はエントリー#27で以下のように規定されています。
1.ニッケルは下記の用途に使用してはならない。
2.上記1の対象である成形品は、それらが上記1の要求に適合しない限り上市してはならない。
3.上記1および2の適合を実証するための試験方法は、欧州標準化委員会(CEN)で採択された規格を用いなければならない。
ご質問の「ニッケルの放出率が0.5μg/cm2/週を超えない」とは、上記1-bで規定されているもので、上記3の規定の規格で測定するニッケルの放出率が、週あたりに1平方センチメートル当たり0.5マイクログラム以下でなければ、列挙されている成形品は上市してはならない、というものです。
上記3の欧州標準化委員会(CEN)で採択された規格としてEN1811が採択されています。
EN1811では、試験試料を人工汗に1週間浸漬したときに溶出するニッケル量について、その分析方法や移行限度値等を規定しています。
具体的には、対象物を洗浄液で洗浄して人工汗の溶出溶液に1週間浸漬し、溶出液を回収してICP発光分析法などで測定する、というものです。
浸漬条件は、1ml/cm2で温度が30±2℃、浸漬時間は168±2時間で撹拌しない、となっています。
また、EN1811では原則「試行回数=2」と規定されており、同じ検体に対して2回(対象物は2個必要)の試験を行うことになっています。
EN1811準拠のニッケル放出量の分析は、国内の公立の試験所などで実施されています。