EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則による本登録の猶予期限が残るのは100トン未満1トン以上で、その期限は2018年6月1日です。この期間内に川上の源流メーカーは、貴社が購入している物質について登録を行う必要があります。
予備登録と登録の違いを整理すると次となります(以下、環境省訳に一部文言追加)。
(1)予備登録 第28条1項
(2)登録 第10条
予備登録と異なり登録では物質に関する性状データや分類などの技術的データなどが要求されます。登録データのなかで、「(iii)附属書VIの3節に定める物質の製造及び用途に関する情報」は川下企業(顧客)情報に頼る部分があります。
第3条(定義)26項では、「特定された用途とは、サプライチェーンにおける行為者によって意図されている物質そのもの又は混合物に含まれる物質の用途又は混合物の用途をいい、サプライチェーンの行為者自身の用途又は直下の川下使用者から行為者に書面で通知される用途を含む」とあり、貴社用途を知らせ登録情報に入れてもらう必要があります。
日本の化審法でも生産者は用途と量を毎年報告する義務がありあすが、用途の分類が異なりますので留意する必要があります。
川上の源流メーカーがOR(唯一の代理人)を使って登録する場合は、第8条(欧州共同体外の製造者の唯一の代理人)2項(下記)に留意する必要があります。
代理人は、本規則に基づく輸入者の他のあらゆる義務も遵守しなければならない。この目的のために、代理人は物質の実際的な取扱いに関する十分な経歴及びそれらに関する情報を持っていなければならず、また第36条(情報保存義務)を侵害せずに、輸入量及び販売先顧客に関する情報並びに第31条に記す安全性データシートの最新版の提供に関する情報を利用可能で最新の状態に保たなければならない。
ORは輸入量を把握しておくことが求められていますので、輸入者(貴社の輸出先)からの情報提供が求められます。
REACH規則の制定背景には化学物質政策白書(2001年2月27日)が指摘しているように、川上企業と川下企業の情報共有があります。営業秘密に配慮しつつも、輸出量や用途などの情報共有することになります。
念のためですが、川上の源流メーカーは、予定通りに登録猶予期限の2018年6月1日までに登録することを確認しておくことをお勧めします。