EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
まず、カートリッジに収納されるインクリボンが成形品と一体であるか、もしくは物質であるか、混合物であるかを判断する必要があります。
「成形品に含まれる物質に関する要求事項についてのガイダンス」(2011年4月バージョン2)に、対象物が成形品かどうかを判断するワークフローが掲載されています(7ページの図2)。
ご質問のカートリッジに収納されたインクリボンについて、カートリッジは容器と考えられます。
他方、インクリボンについては、ガイダンスの付録1の表6(38ページ)で具体例として説明されています。
対象物が成形品かどうかは5段階の基準で判断するようになっています。この解釈の仕方が重要となりますので、インクリボンで内容を確認していきます。
ステップ1で対象物に対して機能の特定を行いますが、インクリボンの場合はインクを紙に付着させるとなります。
ステップ2で形状/表面/デザインは化学組成よりも機能に関連しているかを判断します。インクリボンの場合には、判断が付きませんので、ステップ3にすすみ、対象物は対象物と分離できる物質/混合物を含んでいるか、の判断で「はい」という回答になります。
つぎにステップ4で以下の質問をチェックしていきます。
質問 4a:物質/混合物が対象物から除去または分離でき、それと独立に使用できたとしたら、ステップ1で定義した機能を実行できますか。
回答 :はい。インク自身は、インクを紙に付着させる機能を有しています。
質問 4b:対象物は物質/混合物またはその反応生成物の放出または制御された運搬のための容器または担体の役割を果たしていますか。
回答 :はい。主たる機能はインクを紙に付着させることです。
質問 4c:物質/混合物は対象物の使用段階の間に消費された結果、その対象物が用を果たさなくなりその使用寿命を終わらせることになりますか。
回答 :はい。リボンの廃棄時には、インクのほとんどは消費されています。
結論として、インクリボンは、リボンは容器としての機能を持つ成形品に該当し、インクは物質/混合物として判断されます。
インクリボンのインクは、一般的にはポリマーを含有する混合物が用いられています。
CLP規則においては、前文49で、一般公衆に供給されるものには必要なラベル表示情報の記載要求について言及されています。また、CLP規則の第17条では危険有害性に分類される場合にラベル表示が要求されています。混合物についても、2015年6月1日からCLP規則での分類によるラベル表示が義務化されました。
CLP規則の第23条では、混合物が危険有害性と分類されても、ポリマー含有混合物など上市される形態で、吸入、摂取、あるいは皮膚との接触によって人の健康や、水生環境に危険有害性がなければ、ラベル表示は要求されていません。
以上のことから、インクリボンのインクに関するラベル表示は以下のように考えることができます。
1.危険有害性に分類されるインクを使用されていない場合
ラベル表示の要求はない。
2.インクが危険有害性と分類された場合