EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則で規定される認可対象物質について、それを含有する成形品がEU域外で製造され、輸入される場合は認可を取得する必要はありません。
そのため、認可対象物質の製造・使用等の期限として設定されている日没日を過ぎても、EU域外で製造された認可対象物質を含有する成形品については継続して輸入することができます。
上述の見解となる根拠はREACH規則第56条1項の記載であり、その中では認可の対象は以下であると規定されています。
上述から、EU域内では認可がなければ認可対象物質そのもの、および混合物中の当該物質については上市や使用を禁止しているため、EU域内においては、物質や混合物の製造や成形品製造時の使用は禁止されますが、認可対象物質を含有する成形品の上市や使用は禁止されていません。
そのためEU域外からの輸入品を見ると、物質、混合物についてはEU域内同様に上市が禁止されますが、EU域外で製造された成形品の上市や使用については認可申請の対象とはなっていません。
また、欧州化学品庁(ECHA)が発行するREACHガイダンス「成形品に含まれる物質に関する要求事項についてのガイダンス」では、以下のように記載しています。
【1.3. 他のガイダンス文書で取り扱われているトピック】
輸入成形品の(一体化した)部分である物質は、認可の対象となり得ない。これは、成形品をEEAに輸入するために認可を求められることはないということを意味する。しかし、EEA域内に本拠を置く成形品製造者が、こうした成形品に物質をそれ自体または混合物として組み込む場合は、その物質のその使用が認可されなければならない可能性がある(その物質がREACH附属書XIVのリストに含まれている場合)。
上述からも、EU域外で製造された認可対象物質を含有する成形品を輸入する場合に認可は不要であることがわかりますが、まったく義務がないわけではありません。
REACH規則第58条6項において、認可対象物質も制限の対象になることや、第69条2項では、ECHAに対して、日没日を経過した認可対象物質については、成形品への使用による健康や環境への影響を検討し、リスクが適切に管理されていない場合には、制限提案文書を作成することが義務付けられています。
認可対象物質の中にはすでに日没日を経過した物質もあり、認可対象物質の成形品への使用に関する検討が順次開始されています。仮に、認可対象物質の成形品への使用について上市等の制限が課された場合には。輸入成形品も対応が必要となります。
さらに輸入された成形品であっても、成形品に含まれる認可対象物質の濃度が重量比0.1%超であれば次の2つの情報伝達義務が必要となります。
また、成形品中に含まれる認可対象物質が重量比0.1%超かつ年間1t超であれば、その用途で登録がされていなければ届出が必要となりますので、これらも踏まえて貴社としてどのような対応が必要になるのか把握しておかれることが肝要です。