EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則附属書XVIIには制限物質の追加、すでに対象だった物質の用途などの追加、表示方法などの修正がなされる場合があり、最新情報に注意を払う必要があります。REACH規則の改正に関する最新の条文については、欧州委員会環境総局のウェブサイトおよびEU法データベース(EUR-Lex)から確認することができます。
REACH規則附属書XVIIの改正の適用開始日については、個々の制限対象物質ごとに定められている「制限条件」に記載されており、その適用開始日はさまざまです。
例えば、COMMISSION REGULATION(EC) No552/2009に記載されているシクロヘキサンでは、上市開始日を基準に、制限の適用開始日が異なります。2010年6月27日以降にシクロヘキサンを含有する特定の接着剤をEU市場に初めて上市することが禁止とされています。
一方、2010年6月26日以前に上市が開始された同製品については、半年間の猶予期間が設けられ、2010年12月27日から上市が禁止されています。
また、2016年2月5日現在の最新の改正としては、2016年1月13日に公表されたノニルフェノールエトキシレート(NPE)の制限があります。COMMISSION REGULATION(EU)2016/26では、NPEを含有する特定の繊維製品の上市が2021年2月3日から禁止することが定められています。
このように、附属書XVIIに収載された制限対象物質の改正の適用開始日についてはそれぞれの制限対象物質ごとに定められた「制限条件」を確認し、どのような条件で、いつから使用や上市が禁止されるかを確認することが必要となります。
なお、附属書XVIIの改正は、以下の順序で制定手続きが行われ、ECHAのホームページにおいて適宜状況が公表され、定められた段階で利害関係者に対する意見募集が行われますので、改正前の段階から検討状況を確認することができます。
1.提案意向(Current Restriction intentions)
加盟国等によって、制限を提案する意向がECHAに通知されます。
2.提案(Submitted Restriction proposals)
「1.」の意向通知から12カ月以内に意向通知を行った加盟国等によって制限の提案書類が作成され、ECHAに提出されます。
3.提案書類に対する意見募集(Submitted restrictions under consideration)
ECHAに提出された提案書類に対して、6カ月間の意見募集が行われます。
4.ECHA意見案の策定と意見募集(Submitted restrictions under consideration)
提案書類に対して寄せられた意見を踏まえ、リスク専門家評価委員会(RAC)で9カ月以内、社会経済分析専門委員会(SEAC)で12カ月以内の検討が行われます。検討結果はECHAウェブサイトに掲載されるとともに、SEACの意見案に対しては60日間の意見募集が行われ、その意見を踏まえた最終意見としてまとめられます。
5.EC法案(Adopted opinions on restriction proposals)
「4.」の検討結果がECHAから欧州委員会に報告されてから3カ月間以内に、欧州委員会で附属書XVIIの改正案を作成します。欧州議会、理事会の合意を得ることで可決されます。
6.官報公示
附属書XVIIの改正として、官報(Official Journal of the European Union)に公表されます。