EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
1-メチル-2-ピロリドン(NMP)(CAS番号872-50-4)がREACH規則の附属書XVIIに新規に追加される制限物質とする改正提案が出されています1)。その使用用途には「労働者のばく露に関する所定の条件を満たしていない場合には、製造や使用、上市を禁止」とあります。
ご質問の労働者のばく露に関する所定の条件の詳細については、欧州委員会(EC)のWebサイトにある、本改正の草案規則および附属書案に詳細が記載されています2)。
労働者のばく露に関する所定の条件として附属書案に以下が記載されています。
上記2に記載されている適切なリスク管理措置については、換気、密閉、局所排気換気の増加、一般換気の増加、運転条件の変更、必要に応じて個人用保護具の使用などの予防措置があります3)。
また、個人用保護具の設計、製造について規定しているREGULATION(EU)2016-425(指令89/686/EECからに移行:施行2018年4月21日)の附属書2に用途毎の健康と安全の必要要件が記載されていますので参考になります。また、NMPは通常のゴム手袋ではNMPが透過することが報告されていますので注意が必要です4)。
なお、NMPは認可対象候補物質としてCandidate Listに2011年6月10日に収載されています。現在は第8回目の附属書XIVの収載勧告提案物質5)として2017年2月にECHAから欧州委員会の勧告案が提出されています。
REACH規則第58条7項では、制限や他の法律により全ての使用が禁止された物質は、附属書XIVに含まれることはない、あるいは附属書から除外されるとあります。
しかし、今回の改定提案は労働者のばく露に関する所定の条件を満たしていない場合の条件付きの制限ですので、認可物質として附属書XIVに収載された場合は、附属書XVIIの制限用途以外は、認可対象として申請ができます。
1)https://echa.europa.eu/previous-consultations-on-restriction-proposals
2)http://ec.europa.eu/growth/tools-databases/tbt/en/search/?tbtaction=search.detail&Country_ID=EU&num=494&dspLang=en&basdatedeb=&basdatefin=&baspays=&basnotifnum=&basnotifnum2=&bastypepays=ANY&baskeywords=1907%2F2006
3)https://echa.europa.eu/documents/10162/f6cd9c0f-47b0-48d0-abfa-8e4224b3620e
4)https://www.sanei.or.jp/images/contents/290/N-Methyl-2-pyrrolidone.pdf
5)https://echa.europa.eu/-/echa-proposes-seven-substances-for-authorisation