電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
資源有効利用促進法は、(1)事業者による製品の回収・再利用の実施などリサイクル対策の強化、(2)製品の省資源化・長寿命化等による廃棄物の発生抑制(リデュース)、(3)回収製品からの部品などの再使用(リユース)の対策を行い、循環型経済システムの構築を目指すものです。
指定省資源化製品(省資源化・長寿命化の設計などを行うべき製品)および指定再利用促進製品(リサイクルしやすい設計などを行うべき製品)に指定されている製品のうち、パーソナルコンピュータなどの製品における環境配慮設計(DfE:Design for Environment)の対象に輸入販売製品が含められています。
DfEの要求は、対象製品ごとの省令で「原材料の工夫」や「構造の工夫」などの具体的事項が例示されています。DfEは原料製造、加工、使用、廃棄およびリサクルのすべてを考慮する「ライフサイクルシンキング」を基本としています。サプライヤーを含む電気・電子業界には、調達する部材に含有する化学物質の把握と管理が求められています。
さらに、指定再利用促進製品にかかわるパーソナルコンピュータなどの下記の7製品は、再生資源の利用促進のため、製品に含有される場合再生資源の品質低下やリサイクル工程を阻害するおそれのある物質の管理を行うこと、JIS C0950(J-Moss:the marking for presence of the specific chemical substances for electrical and electronic equipment、「電気・電子機器の特定の化学物質の含有表示方法」)による表示などによる情報提供を行うことが2006年7月1日から施行されています。
<対象製品>
対象となるのは、次の7品目です。
<対象物質>
RoHS指令と同じ6物質と最大許容濃度が定められています。
最大許容濃度もカドミウムは0.01wt%、その他は0.1wt%です。
最大許容濃度の含有率を算出する場合の基準値の分母は、「塗装、印刷、めっきなどの単層。また、複層の場合には、それぞれ単層ごとの状態。ただし、複層を分離してそれぞれの単層ごとの数値を求めることが困難な場合には、分離可能な最小単位を均質な単層とみなす」とされています。
資源有効利用促進法は、RoHS指令と大きな差異が2点あります。
1. RoHS指令は「特定有害物質」ですが、資源有効利用促進法は「特定の化学物質」で、有害性の有無ではなくリサイクルの高度化を念頭としたより広い概念を示しています。
2. RoHS指令は製品への特定有害物質の含有制限ですが、資源有効利用促進法では特定の化学物質が最大許容濃度以上含有する場合、J-Mossによる表示が義務化されています。
(1)上記の7品目で6物質のどれかが基準値を超えて含有される場合
JIS C 0950による「含有マーク」の表示とWebサイト上で「含有箇所による含有状況の表示」を行う必要があります。
JIS規格(JIS C 0950‐2008)付属書B「含有マークの除外項目」に該当する場合、当該製品には「含有マーク」の表示は必要ありませんが、Webサイト上で「含有箇所による含有状況の表示」を行う必要があります。「J-Mossグリーンマーク・ガイドライン(「電気・電子機器の特定の化学物質に関するグリーンマーク表示ガイドライン」)」に沿って、任意で「J-Mossグリーンマーク」を表示することができます。
(2)上記7品目でいずれの部位においても(除外項目であるかないかを問わず)対象の6物質のいずれも基準値を超えていない場合
Webサイト上での「含有箇所による含有状況の表示」を行う必要はありません。
「J-Mossグリーンマーク・ガイドライン」に沿って、任意で「J-Mossグリーンマーク」を表示することができます。
「J-Mossグリーンマーク・ガイドライン」は(一社)電子情報技術産業協会(JEITA)、(一社)日本電機工業会(JEMA)、(一社)日本冷凍空調工業会(JRAIA)の3工業団体で規定されたものです。
なお、上記の7品目以外の電気・電子機器に「含有マーク」は準用することはできますが、「J-Mossグリーンマーク」は付けることはできません。表示の基準ついては、2008年2月1日のコラム「J-Moss規格「JIS C 0950」が改定されました」で解説しています。