電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
商品検査法第3条では、指定輸入農工鉱製品は検査対象とされ、第5条で経済部標準検験局(BSMI:The Bureau of Standards, Metrology and Inspection)により検査がされます。
2014年度(民国103年度)中央政府予算案決議で、電気電子製品の検査基準はCNS15663-102年版とされ、第5節の「含有表示」が要求されました。
適用範囲は、交流1,000V、直流1,500V以下の電気(電機)・電子製品で、軍事製品の適用除外などが附録Cに収載され、用途の除外は付録Dに収載されています。
商品検査法第6条により、検査基準に満たない製品は製造、輸入ができなく、各商品の検査基準、検査方式はBSMIが公告によるとしています。
対象製品は品目ごとに認証制度が指定されます。
品目(C.C.Cコード) | 認証登録申請手順 |
---|---|
パソコン(8471.30.00.00-8など) | モジュールII+IIIまたはTABI検査 |
プリンター(8443.31.00.00-2Aなど) | モジュールII+IIIまたはTABI検査 |
複写機(8443.31.00.00-2Bなど) | モジュールII+IIIまたはTABI検査 |
テレビ(8528.72.00.00-0など) | モジュールII+IVまたはII+Vまたは II+VIIまたはTABI検査 |
モニター(8528.59.10.00-5など) | モジュールII+IVまたはII+Vまたは II+VIIまたはTABI検査 |
PCモニター(8528.41.00.00-8など) | モジュールII+IIIまたはTABI検査 |
指定製品は随時追加されています。2015年12月29日にネットワークメディアプレーヤーおよびプロジェクター、2017年1月1日に無線マウスやキーボードなど92品目、2017年6月5日に電気毛布など63品目が追加されています。
「含有表示」対象は付録AでEU RoHS(I)指令と同じ6物質が示されています。
台湾RoHS法は大陸中国RoHS管理規則と同様に、含有制限ではなく、含有状況の表示要求(表1)です。
適合宣言書の作成義務があり、要求があった場合は28日以内に提示する義務があります。
「電気電子機器中に含まれる有害化学物質の最大許容濃度に関する通知」(Circular No.30/2011/TT-BCT)、2011年8月10日告示、2012年12月1日施行。
第4条 化学物質の許容濃度制限値の規定に従わねばならない電気・電子製品は本通達の付属書2で特定されている有毒有害物質の許容濃度制限値を確実に満たさなければ上市できません。ベトナムの国内市場に上市される電気電子製品には、次の製品グループが含まれます。
付属書2 対象電気・電子製品のリストがあり対象製品目録がHSコードで記載されています。
(1)大型家庭用電気製品
例:大型冷蔵庫(HS 8418)・クーリング機器(HS 8418)・・・
「危険物質を含有する可能性のある電気電子機器の工業規格」
この工業規格は、この工業規格の発効前から存在する電気電子機器の修理またはリユースのためのスペアパーツには適用されません。電気・電子機器とは、附属書Bに示された機器のうち、電流または電磁場の働きによってはじめて正しく機能する機器、および、これらの電流および電磁場の発生(generation)、移動(transfer)、および計測のための機器で、かつ、交流1,000V以下および直流1,500V以下に設計されたものです。
2016年6月1日に環境保護管理法の改正政令S 263/2016として公布されました。
対象製品は次の6製品群ですが、EU REACH規則の附属書XVIIの制限と同じイメージです。施行日は2017年6月1日です。
(1)エアコン(air-conditioner)
中古エアコン、冷却塔、冷却器、産業用あるいは特定用途の大規模エアコンは除かれます。
(2)薄型テレビ(flat panel display television)
11インチ以上のテレビが対象で、中古テレビ、自動車に装備されたテレビ、建物やバス停留所の広告用テレビ、産業用あるいは特定用途に設計されたテレビは除かれます。
(3)携帯電話(mobile phone)
中古携帯電話、携帯型の双方向無線機、衛星電話および特定用途に設計された携帯電話は除かれます。
(4)ファブレット(phablet)(「Phone」と「Tablet」とを合わせた造語)
中古ファブレットおよび特定用途に設計されたファブレットは除かれます。
(5)ポータブルコンピュータ(portable computer)
中古ポータブルコンピュータ、自動車に装備されたポータブルコンピュータ(カーピュータ)および特定用途に設計されたポータブルコンピュータは除かれます。
なお、コンピュータの定義では、自動タイプライター・植字機、ハンドヘルド計算器、非プログラム可能・データメモリー機能がない場合は除かれます。
(6)冷蔵庫(refrigerator)
中古冷蔵庫、ワインキャビネット、携帯クーリングボックス、チラーまたは輸送用冷蔵箱、産業用または特定用途に設計された冷蔵庫は除かれます。
(7)洗濯機(washing machine)
中古洗濯機、産業用あるいは特定用途に設計された洗濯機は除かれます。
特定有害物質と最大許容濃度はEU RoHS(I)指令と同じ6物質群です。用途の除外は、EU RoHS(I)指令に準拠していますが、微妙な差異があります。
2016年10月1日に“the E-Waste(Management)Rules, 2016”が、“the E-Waste(Management and Handling)Rules, 2011”)に置き換えて施行されました。 対象製品は2製品群でEU RoHS(II)指令と異なります。
(1)ITおよび通信機器:
(2)消費者向け電気・電子製品
特定有害物質は、EU RoHS(I)指令と同じ6物質群です。
「インドには大量の電子廃棄物が不法に輸入され、国内で発生する全電子廃棄物の約95%が、有用鉱物を回収する目的で都市部の郊外にある不法な施設に送られている」ことが、“the E-Waste”の制定背景にあり、拡大生産者責任(EPR:Extended Producers Responsibility)が要求されています。
EU RoHS指令(I)およびEU WEEE指令を準拠としたマレーシア規格MS2237:2009(ECO-LABELLING CRITERIA FOR ELECTRICAL AND ELECTRONIC EQUIPMENT AND COMPONENTS WITH RESTRICTED HAZARDOUS SUBSTANCES)があります。
このマレーシア規格は、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBBおよびPBDEなどの有害物質の制限付きで、附属書Aに記載されている電気および電子機器の環境ラベル表示基準を制定しています。附属書AにはEU WEEE指令の10製品群となっています。
MS2237はエコラベル規格で、認証されるとSIRIM(マレーシア工業標準所)マーク(図1)が貼付できます。ラベルには“MS2237:2009”“restricted hazardous substances”“Certification No”などの記載が必要です。
MS2237は、環境に優しい商品の生産と消費を促し、環境に優しいサービスの利用への消費者の意思決定に影響を与えることを目的としています。認証により、事業者は自社製品の環境指標について信頼できる主張をすることが可能になります。
MS2237はELECTRICITY REGULATION 1994で特定された冷蔵庫、洗濯機、掃除機など34品目は、強制的に認証が要求されます。その他の電気電子機器は任意となります。
技術規則(Technical Regulation)“Decision No. 113 of the Council of the Eurasian Economic Commission dated October 18, 2016”として制定されました。
採択日(Document adoption date):2016年10月16日
告示日(Document publication date):2016年12月23日
発効日(Date of its entry into force):2017年1月22日
目的は次としています。
対象製品は次で、EU RoHS(II)指令とは若干異なります。
特定有害物質および最大許容濃度はEU RoHS(I)指令と同じです。
6物質についての用途の除外は附属書IIIに収載されています。除外項目は43項目で、項立てが異なるのですが、内容的にはEU RoHS指令と類似しています。
順法宣言はスキームによります。
スキーム4は商品単位
電気・電子機器の適合性を宣言する場合の申請者は以下になります。
スキームは関税同盟決定No621(2011年4月7日)で、告示されています。
指定スキームで適合宣言をして、EACマーク(図2)を貼付します。
技術的規則「電気・電子機器における特定有害物質の使用制限」
EU RoHS(II)指令 2011/65/EUをベースにして制定されています。対象製品はEU RoHS(II)指令と同じ11製品群です。
特定有害物質もEU RoHS(II)指令と同じ10物質ですが、RoHS(I)指令の6物質と追加されたフタル酸エステル類4物質は適用時期が異なります(表2)。
附属書1 製品カテゴリー |
適用対象外(第5条) | 附属書2(特定有害物質) | |
---|---|---|---|
A群 | B群(第6条) | ||
1~7、10 | 2011.1.1前の上市品 | 2017.9.11 | 2019.7.22以降 玩具は除く |
11 | 2017.9.11 | 2019.7.22以降 | |
8&9 | 2018.1.1前の上市品 | 2018.1.1 | 2019.7.22以降 |
体外診断機器 産業用監視制御機器 |
2018.7.22前の上市品 | 2018.7.22 | 2021.7.22以降 |
ケーブル スペアパーツ |
2011.1.1前の上市品から回収した物を2018.1.1前の電気・電子機器に使用する場合(要顧客に通知) | 2017.9.11 | 2018.1.1前に上市されたケーブル、スペアパーツのリサイクルには適用しない |
用途の除外は附属書3(すべての製品カテゴリーが対象)にEU RoHS(II)指令と同様とあります。第8および第9製品カテゴリーは附属書4も適用されます。
除外項目は、EU RoHS(II)指令と同じで、EU RoHS(II)指令の附属書IIIの延長案のPack9は反映されていません。
EU RoHS(II)指令と同じ項目ですが、施行が2017年9月11日ですので、適用日は少し違っています。
適合宣言も要求されています。
順法のための要求は、2016年1月13日付け適合性評価手続に基づいて、技術文書を作成し、適合性評価をします。
この技術規則は内部生産管理手順が適用されますが、EUのニューアプローチのモジュールAと類似した手続きになっています。
2015年5月22日の官報で「廃電気・電子機器および電気・電子機器に関する規則」が告示され、製造者の義務は1年後に発効しました。
この規則の目的(第1条)は、「電気・電子機器の製造から最終処分までの環境および人の健康を保護するために、電気電子機器における特定の有害物質の使用を制限すること。」「リユース、リサイクル、リカバリーの方法および削減の目的に関連する法的および技術的原則を規制すること」です。
第3条でEU RoHS指令(2002/95/EC RoHS(I)指令)とEU WEEE指令(2002/96/EC WEEE(I)指令)と調和するとしています。調和されていますので、対象製品は用語の定義により、正しく作動するために電流または電磁界に依存する機器で、交流1,000V以下、直流1,500V以下の附属書1Aの示されている電気・電子機器です。
附属書1AはEU RoHS指令の製品カテゴリーの1~10で、附属書1Bに製品名称が記載されています。
WEEE規則部分はWEEE指令に準拠し、製品カテゴリー別リサイクル率やクロスドアウト・ウイールドビン(crossed-out wheeled bin)マークの貼付義務などが規定されています。
RoHS規則部分は、製品カテゴリー1~7および10、医療機器および監視制御機器を除いた製品群に対して、特定有害物質(鉛Pb、水銀Hg、六価クロム、カドミウムCd、ポリ臭化ビフェニルPBBおよびポリ臭化ジフェニルエーテルPBDE)の含有制限をしています。
特定有害物質の濃度規制値はカドミウム0.01%、そのほかは0.1%としています。用途の除外は附属書2BでEU RoHS指令と同様の項目を示しています。
2017年4月27日に「電気および電子機器における制限された有害物質の濃度管理の首長法に関する2017年度閣僚決定第10号」として公布されました。
対象製品は、EU RoHS(II)指令と同じ11製品群ですが、EU RoHS指令と異なり対象製品リストがあります。特定有害物質はEU RoHS(II)指令と同じ10物質群ですが、カドミウム、鉛、水銀、六価クロム、PBB、PBDE(表3)とDBP、DEHP、BBP、DIBPは適用時期(表4)が違います。
カドミウム、鉛、水銀、六価クロム、PBB、PBDE | ||
---|---|---|
施行日 | 製品 | Group |
2020.1.1 | 医療機器・インビトロ医療機器 監視制御機器・産業用監視制御機器 |
A |
2022.1.1 | Aグループのケーブル、スペアパーツ | B |
2018.1.1 | Aグループ、Bグループ以外の修理、再利用、アップグレード機器、Cat11を除く電気・電子機器 | C |
2020.1.1 | Cat11の機器 | D |
フタル酸エステル(DBP、DEHP、BBP、DIBP) | ||
---|---|---|
施行日 | 製品 | Group |
2022.1.1 | 医療機器・インビトロ医療機器 監視制御機器・産業用監視制御機器 |
A |
2022.1.1 | Aグループのケーブル、スペアパーツ | B |
2020.1.1 | Aグループ、Bグループ以外の修理、再利用、アップグレード機器、Cat11を除く電気・電子機器 | C |
2020.1.1 | Cat11の機器 | D |
用途の除外はEU RoHS(II)指令と同様に附属書3、4で除外がありますが、EU RoHS(II)指令はPack9、10などで変更されますがこの反映はされていません。
認証制度が適用されEQM Markが要求されます。
GCCは、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビアの6カ国で構成され、イラク、イエメン、ヨルダン、モロッコが加盟を希望しています。
GCC RoHS規則は、GCCからGCC加盟国に宛てた技術規則で、The Gulf Cooperation Council Standardization Organization(GSO)が発行します。
GCC RoHS規則は、電気・電子機器の有害物質使用制限に関するGSO技術規則(ドラフト)CDT-180024として2018年3月28日にWTO通告がされました。
基本的な要求内容は、EU RoHS(II)指令と同じで、電気・電子機器に特定有害物質(10物質群)の含有を制限し、適合マークG(Gulf)Mark)(図4)の貼付が要求されます。
適用時期はWTO通告では2017年7月22日で、過去の日付になっており、GCC構成国のUAE RoHSの関係などが今後具体化すると思います。
「ブラジルには、家電製品における有害物質の適用を規制する特定の基準がまだありません。規制の欠如は、このような機器の製造工程、リサイクル・廃棄で働く人々、製品を使用する消費者だけでなく、環境に負の影響を与えることにより人の健康を危険にさらす可能性がある。」として、RoHS指令に準拠した法規制が検討されています。
このような状況の中、2017年12月からEU RoHS相当の法律案提案のために国家化学安全委員会(CONASQ)を設置して草案の検討を開始しました。草案は2018年度中に取りまとめを完了し国家環境審議会(CONAMA)に提出される予定です。
規制内容はEU RoHS(II)指令を参考に策定される方針です。