電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2007.12.28
2008年1月1日に京都議定書の第1約束期間が始まり、日本は90年度比6%削減の義務が生じます。京都議定書では先進国に削減義務が課せられ、全体で5%の削減が目標となっています。EU全体は8%削減義務ですが、加盟国で再配分して、ドイツは21%、イギリスは12.5%の削減をしますが、フランスは0%、スペインは15%増などになっています。
地球温暖化というグローバルな問題ですから、削減義務が少ない国であっても、削減努力は必要で、EUではさまざまな取組みをしています。
IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)のWorld Energy Outlook 2004 Editionによれば、2002年比2030年のエネルギー起因CO2排出量は先進国(OECD)127%、移行国143%、途上国223%で、2030年の世界全体での先進国の排出量比率は53%から41%になります。途上国の省エネが大きな課題になります。
途上国に削減義務を課すことは政治的な背景があり、論議が分かれるところですが、先進国が途上国に輸出する製品を省エネ設計(Eco-Design)製品とする意義は高いものがあります。日本では資源有効利用促進法による特定製品について、省令で環境配慮設計が企業責務として示され、EUではEuP(Directive on Eco-Design of Energy-using Products)指令で省エネ設計が要求されています。
EuP指令は、ニューアプローチ指令でCEマーキングが導入される強制的な規制となります。EuP指令の理念が前文で次のように示されています。
EuP指令は、2008年から始まる地球温暖化防止の施策の一つであり、化学物質規制とトレードオフにしない対応が要望されます。EuP指令もいよいよ対応しなくてはなりませんが、対象製品(20万台以上販売製品)は個々に基準が定められます。先行19品目についての準備が関係工業会などで進められています。次の品目は最終報告書が入手できます。
ほかは草案やプロジェクト活動中です。さらに、2008年度の優先品目も工作機械、工業用、実験室用の炉、オーブンや電気機械工具など25品目が上げられています。今後の留意点として、EuP指令は第2条の定義のなかで、最終製品だけでなく、部品も対象となる記述になっています。
・・・including parts dependent on energy input and intended to be incorporated into an EuP covered by this Directive which are placed on the market and/or put into service as individual parts for end-users and of which the environmental performance can be assessed independently.
これらEuP指令以外にも、韓国RoHS法、カリフォルニアRoHS法、中国RoHS管理規則など次々と新たな要求が出てきています。これからの企業対応は、RoHS指令、REACH規則あるいはEuP指令対応を個別に行うのではなく、総合したDfE(環境配慮設計)をすることが必要となります。
「総論から各論」へ、「法令解釈から自社製品対応」が新たな潮流です。今後、DfEが企業の大きな施策となると思います。
(担当:松浦 徹也)