電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2010.08.20
前回に続いて、7月16日付け中国RoHS規則(電子電気製品の汚染抑制管理規則)の改正案のポイントをご紹介します。
第12条~第15条で電子電気製品の生産者あるいは輸入者に製品表示義務が要求されています。有害物質の表示、環境保護使用期限の表示、包装物の材料名称の表示は現行RoHS規則と同じです。
(1) 電子電気製品に含有する有害物質の表示
(2) 環境保護使用期限の表示
(3) 包装物の材料名称の表示
(1)目録管理
発展改革委、科学技術部などの関係部門が調整して、電子電気製品汚染抑制標準達成製品目録を編纂します。この目録は、電子電気製品の品種、使用制限有害物質の種類、要求および制限使用期限等で構成され、実際の状況と科学技術の水準の向上の要求によって適切な時期の調整が行われます。現行RoHS規則の重点管理目録に相当します。
目録に組み込まれた電子電気製品は、本規則の電子電気製品の汚染抑制に適合させるほか、目録中で規定された重点汚染抑制要求に適合させなければなりません。
(2) 認証制度
目録に収載された電子電気製品は、国家推進汚染抑制制度による認証が要求され、「出入国検査検疫機構が検査検疫を実施する輸出入商品目録」に組み入れられて、出入国検査検疫部門が、法により輸入される電子電気製品に対して検査を実施します。税関は、出入国検査検疫機構が署名発行した「入国貨物通関表」と照合検査して関連手続き処理をします。税関での検査対象になります。
現行RoHS規則では「制性
品
管理」が要求されていましたが、「国家推行的
子
气
品
染控制
制度」の要求に変わっています。国家推奨汚染制御認証制度は自発的とされている制度です(詳細は7月9日付けコラム参照)。
5月31日の「国家統一普及電子情報製品の汚染規制のための自発的な認証の実施に関する意見」では、「国家推奨汚染制御認証実施の商品目録は国家認証認可監督管理委員会によって工業情報化部と共同で決定し、調整し、発表する」としており、3C制度の主管部門でもある国家認証認可監督管理委員会の役割が違っているようです。
なお、電子電気製品汚染抑制標準達成製品目録に入っていない電子電気製品は、本規則の電子電気製品汚染抑制に関するその他の規定に適合させなくてはなりません。
(3)実施時期
工業情報化部は発展改革委員会などの関係部門と協議し、産業発展の実際の状況に基づき、電子電気製品汚染抑制標準達成製品目録に組み入れた、電子電気製品の中に含有することのできない有害物質の実施期限を公布します。
3C制度から国家推奨汚染制御認証制度に変わるという大きな変更がありますが、その他の手順は変わっていません。
罰則は、現行RoHS規則と同様に環境保護、税関、商工業、品質検査などの部門が自部署の法規制(RoHS規則ではなく)で摘発します。罰則の内容は、現行RoHS規則と差異はありませんが、特筆すべき事項として以下の2点があります。
(1) 関連部門への苦情と告発する権利
電子電気製品の生産者、販売者、輸入者は、本規則の規定する部門の義務とその行為に背くことに対して関連部門に苦情を訴えて、告発する権利が認められました。
(2)政府職員の責任
政府職員には、職権を濫用した汚職や黙認、または本規則の規定に違反する行為を黙認したりかばう、あるいは本規則の規定に違反する当事者が調査・処分を逃れることを助けた者は、法律に基いて懲戒処分を与えるとしています。
このように、政府職員の責任を追及できる仕組みになりました。
現行RoHS規則のいかなる組織、個人に与えられていた生産者、輸入者および販売者の違反報告を当局に報告する権利は削除されました。
解釈権の項で、関係部門が明示されています。主管部門が工業情報化部で、発展改革委員会、科学技術部、財政部、環境保護部、商務部、税関本部、商工業総局、品質検査総局が関係部門になっています。
現行RoHS規則の関連部門に科学技術部、財政部、税関本部、商工業総局が追加になっています。RoHS規則は日本では経済産業省令に相当しますが、他省との連携や認証での国家認証認可監督管理委員会との連携などで、広がりが感じられ、また、執行の強化を感じます。
今秋にEU RoHS指令の改正案がまとまると思われます。中国RoHS規則がこれにどのように対応するか注目が集まります。
*なお、本コラムにおける7月16日付け中国RoHS規則(電子電気製品の汚染抑制管理規則)の改正案の説明は意訳であり、内容の正確性を保証するものではありません。翻訳は筆者の知見、認識に基づいたものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制の解釈は必ず原文を参照してください。
(松浦 徹也)