電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2012.06.08
指令2002/95/EEC(RoHS I)の基準で用途除外が認められていた鉛とカドミウム含有製品の4用途について、EU委員会からの依頼で2011/65/EU (RoHS II)の基準による除外の連続性の評価を実施した結果1)がOeko-Instituttとfraunhofer IZMから報告されました。
1)http://rohs.exemptions.oeko.info/
http://rohs.exemptions.oeko.info/fileadmin/user_upload/Rohs_V/Re-evaluations_transfer_RoHS_I_RoHS_II_final.pdf
今回の評価では、ステークホルダーや以前の除外申請者から新たに意見は求めず、そのためオンラインステークホルダーコンサルテーションも実施しないことで合意されていました。そのため評価結果は、仮説に基づいてまとめられています。もしRoHS II制度のもとで評価されていれば申請者からの特定の除外に対する論拠について確実な評価を提供することができたと思われます。
もし同時にRoHSがそれらの使用の除外を認めるならば、REACHの下で、物質と成形品の認可もしくは制限のための手続きの中に以下の除外に関連のある物質の使用を含めることのみがREACHにより与えられる環境と健康の保護を弱めるかもしれません。
以下の勧告(RoHS IIへの移行に関する除外)をスクリーニングし、含まれている物質が次のリスト中にあるかどうかをチェックしています。
以下の除外に含まれている鉛とカドミウムの両物質に関連性のあるエントリーは、附属書XVIIのみに見出されることがわかりました。
そして鉛もカドミウムも(少なくともEEE中に使用される場合)認可に関連する活動の対象ではありません。
附属書XVIIは関連する3つのエントリーを含んでいます。
上述の鉛と鉛化合物およびカドミウムに関連してエントリー28と30は次の制限をリストしています。
上市または使用されてはらない
―物質として
―その他の物質の構成成分として
―混合物中に
物質または混合物中の個々の濃度が同等以上の場合、一般公衆への供給に対しては、
―CLP規則〔Regulation(EC)N0 1272/2008〕の附属書VIのパート3に特定されている特定濃度相当
または、
―指令1999/45/ECに特定されている濃度相当
カドミウムに関連するエントリー23に関しては、リストはもっと複雑で非常に長いものです。それで、全リストはここでは掲載されていませんが、カドミウム合金の使用に言及している除外30に関連すると考えられるものを抜粋します。
「8. 重量比0.01%以上の濃度のカドミウムはロウ付け充填剤 (brazing fillers)に使用してはならない。もしカドミウム(カドミウム金属 Cd metalとして表現されている)の濃度が重量比0.01%以上であればロウ付け充填剤は上市してはならない。この文節でロウ付けとは合金を用いた接合技術で450℃以上の温度で操作されるものを意味しています」
除外40に言及されているフォトレジスタ中のカドミウムの用途はエントリー23には含まれていないようです。
報告書の対象となっている鉛とカドミウムの4つの除外用途を下表に示します。
除外No | 適用除外用途 |
---|---|
7(C) -IV |
集積回路、ディスリート半導体の部品に使用されるコンデンサ向けのジルコン酸チタン酸 (PZT) をベースとした誘電セラミック材料の鉛 |
30 | 100dB以上の強さの高出力音響スピーカーで変圧器内の音声コイルの電気導体部のはんだ接合としてのカドミウム合金 |
31 | 水銀フリーの直蛍光灯(液晶ディスプレイまたは産業用照明に使用)の中のはんだに含まれる鉛 |
40 | 業務用オーディオ機器に使用されるアナログオプトカプラー用フォトレジスタ中のカドミウム |
表の4除外のRoHS IIの除外基準による見直し後の評価結果を以下に記載します。
(瀧山 森雄)