電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2012.11.02
今回は2012年10月5日に本コラムでご紹介しました2012年9月21日に欧州委員会が発行したEN50581「有害物質の使用制限に関する電気・電子製品の評価のための技術文書(technical documentation for the assessment of electrical and electronic products with respect to the restriction of hazardous substances)」の内容について紹介します。
RoHS(II)〔2011/65/EU〕第7条ではDecision No 768/2008/ECの付属書IIモジュールAによる技術文書作成を要求しています。EN50581は製造者がその要求にある電気・電子機器における特定有害物質の非含有を保証するための技術文書作成に関するガイドラインであり、分析方法としてEN62321:2009を引用しています。
RoHS(II)では次の項目について改訂されています。
EN50581は上記の項目4に関するガイドラインであり、以下の項目で構成されています。今回はこの中の技術文書の項目について解説します。
EN50581はモジュールAによる一般的な要求である評価に関する(非含有)技術文書について、電気電子機器の内容を具体化したものです。EN50581が要求する物質規制の順守を製造者が宣言するために整備する必要がある技術文書は4種類です。
(1)材料や部品、及び/または半組立品に関する情報
(2)サプライヤ宣言書、及び/または契約上の合意
(3)材料宣言書
(4)分析試験結果
EN50581はこの技術文書を作成する手順を明確にしています。
1.技術文書で要求する項目技術文書に必要な情報は、製造者の使用する材料、部品及び/または半組立品に規制物質が含有されている可能性や、技術文書を作成する製造者の信用格付けに基づいて決定されるべきであると規定しています。
これらの評価、決定は製造者による含有リスクを考慮して行われます。
さらに、本ガイドラインでは、使用する材料、部品及び/または半組立品に含まれているかどうか不明な物質についても技術的判断を加えることを要求しています。その技術的判断については製造者の経験則などでもよく、柔軟な対応が可能のようです。
また、製造者が評価する上での情報収集についても厳密に規定されており、製造者による証明書や製造者の署名入りの契約書、材料の証明、EN62321に記載された分析方法による分析試験結果などが求められます。 これらの収集した情報については、その内容について評価する手順を規定する必要があります。例えば、IEC/TR 62476のフレームワークは、規制物質を含有する電気、電子製品を評価するための国際標準のツールのため、この規格を活用する公式な証明とすることが可能です。
最後に、製造者は自身が作成した技術文書が引き続き有効であるかどうかを定期的にレビューするとともに、使用する材料、部品、半組立品を変更した場合にその変更が技術文書に反映されているかどうかをそのレビューに含めることが求められます。
2013年1月2日から適用されるRoHS2は製造者にとって厳しい義務になりますが、本ガイドラインのような支援規格を活用して規制に対応していくことが必要です。
(田中 敬之)