2013年1月3日から全面的に施行となっていますRoHS(II) (改正RoHS指令) は、その第6 条規定において「欧州委員会は2014年7月22日までに附属書IIの制限対象物質の見直しと修正 を行うこと」を求めています。
2013年2月15日付けコラムに取り上げていましたが、欧州委員会は1月20日にRoHS(II)の附属書IIに収載されている制限対象物質の見直しに向けた第1次の意見募集の開始を発表し、2月10日まで実施されました。
その後、第2次意見募集が2013年2月20日から2013年3月11日まで行われました。それらを踏まえて第1回ステークホルダー会議が3月13日にベルギーのブラッセルで開催されています。その議事録 (Minutes) から当該会議の概要を以下に紹介いたします。
【会議の目的】
RoHS(II)における潜在的な制限物質の特定と評価のために提案される方法論の発表と討議
【会議の議題】
- イントロダクション/RoHS(II)の背景
- プロジェクト概要の発表
- 提案される特定方法論の発表
- 提案される予備評価方法論の発表
- 提案される評価方法論と提案されるRoHS附属書IIドシエの発表
- 展望 (次のステップおよび今後のイベント)
上述の議題ごとに議事録内容の概要を紹介します。
1.イントロダクション/RoHS(II)の背景
第6条 (3) にしたがい附属書IIの修正の法的手続きと委任法 (delegated acts) によります。附属書IIIおよびIVの修正の最初のシリーズが2012年12月に始まった時点で、RoHS委任法のための加盟国専門家グループは登録されています。附属書IIの修正要求を準備する時には、欧州委員会は専門家グループに相談しなければなりません。
進行中の研究によれば、個々の物質制限に対する勧告を考慮し欧州委員会はRoHS(II)附属書IIの修正のための法的要求を上程する予定で、委任法の草案が加盟国の専門家グループに提出されるインターサービスコンサルテーションを経て委員会に提出されます。欧州議会と理事会が2カ月(または4カ月)以内に廃止しなければ、当該措置は受け入れられて官報公示されます。
2.プロジェクト概要の発表
プロジェクトの目的、スケジュールの予期する成果およびステークホルダー貢献の機会が主催者から発表されました。
開発中の方法論はRoHS(II)の附属書IIの見直しルールを提案し、見直しに対するガイダンスとして寄与することを説明しています。
3.提案される特定方法の発表
以下が発表および議論されています。
- (1)データソース
EEE中の物質のインベントリーを確定するため、JIG (Joint Industry Guide) およびIECにより供給されるデータベースを使用することが提案され、データの更新を中止することが重要である。
- (2)特定のためのクライテリア
方法論の初期段階で、EEEの廃棄フェーズ (the end of life phase) が考慮されるべきである。
- (3)物質のグルーピング
特定された物質はグルーピングして評価することにより、過度の管理や類似物質を個々にリストすることを回避することが可能である。
- (4)REACHの物質評価プロセスがRoHSのリスク管理基準となるかどうか
この議論ではRoHSとREACHが相互に言及していないので、REACHにおける物質評価プロセスの文脈においてはRoHSの制限を包含していることは予見されないとされている。
4.提案される予備評価方法論の発表
以下の発表と議論が行われています。
- 物質予備評価のための方法論においてナノマテリアルに対する考慮が詳細に議論され、ナノマテリアルのテスト方法論は現在開発中。
- 廃棄フェーズで、ナノ物質のリリースの証拠があり人の健康および環境に潜在的な危険性が確認された場合に限りスコアリングを導入すべきである。
- RoHS(II)においてナノマテリアル (微小サイズ物質を含む) が明確に記述される場合は考慮すべきである。
- 物質優先のために適用される基準として提案されているスコアリングシステムが議論された(発がん性に対して高いスコアとなっている)。これは議論の出発点であり方法論の改善期間中に採択されることとなるであろう。
5.提案される評価方法論と提案されるRoHS附属書IIドシエの発表
以下の発表と議論が行われています。
- リスク評価のモニタリングデータは、EEE中の使用物質以外の他のアプリケーションが考慮されるべきである。
- 代替品の評価
すべての可能な代替品に対する完全なLCAが要求されるかも知れない。しかし、RoHSの下では評価に対する制限があり、焦点は廃棄段階 (the end of life stage) であることが同意された。制限からの除外のためのメカニズムがあるため、適切な代替品の存在はRoHS下では新しい物質のために必要条件ではないことは明らかである。
- 非制限条件下での廃棄物管理
適切な廃棄物管理のみに集中されるべきであるが反面、第三国における非管理物質の取扱いという現実があり考慮されるべきである。少なくとも厳しい重大な結果 (死、やけど等) が考慮されるべきことが提案された。
- 方法論全般に対する包括的コメント
ステークホルダーは、REACHの下で開発されたデータおよび方法に頼っていることを提案した。実際に利用可能なデータおよび方法を使用することは予知される。しかし、RoHS下で予知されているように廃棄段階に焦点があてられている。
物質の特定と評価のための方法論はリスクベースであるべきということは一般的に合意されている。評価方法論の主要な論点は、RoHS下で制限を正当化する物質の負の影響を明確にすることである。
材料中の難燃材の量はその技術的な正当性に関して評価されるべきかどうか疑問とされている。この話題を科学的に論ずることはプロジェクトの範囲外であることが合意された。現在の難燃材に関するEUのプロジェクト「enfiro」の結果を使用することが要求された。
- 議論されたその他のトピックス
制限のための物質を推奨する場合、業界および当局がコンプライアンステスティングのために必要な努力を考慮すべきことが提案された。さらなる物質の制限は、除外の洪水を招き、それらをどのように処理するか(取り扱うか)に懸念があった。
6.展望 (次のステップおよび今後のイベント) 結論および展望
ここでは、以下の議論と報告がなされています。
- 会議の参加者は、RoHS下での潜在的な制限物質の特定と評価に対する方法論について、総合的なアプローチに合意した。
- Umweltbundesamtは、ステークホルダーの貢献を考慮して方法論を微調整して2013年5月までにマニュアル草案を準備する。
- マニュアル草案は、2013年5月までにプロジェクトのwebサイト上に提示される。
- 第2回のステークホルダーコンサルテーションのコンテキストにおいて受領されているすべてのコメントは、個々のステークホルダーの了承を得たものはプロジェクトのwebサイト上に掲載される。
- 2013年5月の第2回ステークホルダー会議は、方法論のマニュアル草案についての議論である。
(瀧山 森雄)