電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2017.11.10
玩具安全指令2009/48/EC(以降「TSD指令」)は附属書II(特定安全要求)パートIII(化学特性)13項において順守すべき特定安全要件として、19種類の重金属に対する溶出限度(migration limits)の制限数値が定められています。
そして当該13項の末尾に以下の記述があります。
第10条(2)の第1文節において特定されるような使用の場合は、溶出限度は、玩具のアクセス可能性、機能、ボリュームおよびマスにより、吸込む、舐める、呑み込む又は皮膚との深い接触による有害性が除外される玩具または玩具構成部品には適用されない。
溶出限度は、子供の行動を考慮に入れ、意図される又は予見されるように玩具が使用される時に子供の接触可能性のある玩具および玩具構成部品に適用される。
溶出限度とは、TSD指令の整合規格であるEN-71のパート3に基づき玩具および玩具構成部品からの溶出量試験における溶出量の制限値をいいます。
19種類の重金属の溶出量制限値は、以下のa)、b)およびc)に属する玩具および玩具構成部品の材料グループに対して定められています。
現行のTSD指令におけるアルミニウムの溶出制限値は下表に示すとおりです。
乾性、脆性、粉状または柔軟性玩具材料 (dry,brittle,powder-like or pliably material) |
液体および粘性の玩具材料 (liquid and sticky toy material) |
剥離性玩具材料 (scraped-off toy material) |
---|---|---|
5625mg/kg | 1406mg/kg | 70000mg/kg |
SCHEER(Scientific Committee on Health,Environmental and Emerging Risks)は2017年9月27日に欧州委員会の要求により調査・検討を行ってきたTSD指令に規定されている玩具中のアルミニウムの溶出限度(migration limits)の適合に関連するアルミニウムの許容摂取量に関する意見1)を公表しました。
公表された意見の要約は以下のとおりです。
欧州委員会はSCHEERに対し以下を調査、分析および勧告するよう依頼していた。
上記に対するSCHEERの最終意見は以下です。
玩具材料グループ | 溶出限度 (migration limits) |
---|---|
乾性、脆性、粉状または柔軟性玩具材料 (dry,brittle,powder-like or pliably material) |
2250mg aluminium/kg |
液体および粘性の玩具材料 (liquid and sticky toy material) |
560mg aluminium/kg |
剥離性玩具材料 (scraped-off toy material) |
28130mg aluminium/kg |
上記にご紹介しましたように、SCHEERの公表意見においては、玩具以外のソース(例えば飲食)によるアルミニウムばく露の重大性に鑑み、EFSAおよびJECFからの玩具からの溶出限度を最小化すべきとの勧告を踏まえ、許容一日摂取量の現行ベースを見直すことによりアルミニウムの溶出限度を現行の40%とすることが勧告されています。
(瀧山 森雄)