電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2019.02.15
企業活動のグローバル化により、日本企業は直接あるいは間接的に欧米だけでなくアジア、オセアニア、中東やロシアなどの法規制に対応することが求められてきています。
今後のビジネスで気なるのがEEU、ロシアです。対ロシア貿易額は0.7兆円(2017年度)で、全体の0.9%、対アメリカは15.2兆円19.2%に比較すると規模は小さいのですが、前年比では27.5%伸びています1)。
輸出は自動車関連、輸入はエネルギー関連が主要品目となっています。
ロシアはEEU(ユーラシア経済連合:ロシア・ベラルーシ・カザフスタン・アルメニア・キルギス)の盟主であり、EEUは中国、インド、パキスタンなどと貿易協定を結ぶ構想があります。このような状況を考えますと、ロシア1カ国だけでなくEEUを意識した対応が重要となってきています。
輸出先国の化学物質関連規制を把握するには、化学物質の規制法、化学物質の特定用途の規制法、化学物質の消費者、子ども保護法が基本となります。EUのREACH規則、RoHS指令、玩具指令に類似した法規制です。
ロシア、EEUの化学物質規制について情報を整理してみます。
なお、EEUについては、2017年5月18日のコラム「ユーラシア経済連合(EEU)RoHS法の動向」を参照ください。
EEU技術規則はEEUの執行機関のEEC(the Eurasian Economic Commission :ユーラシア経済委員会)が告示します。EUのREACH規則に相当する「化学製品安全規則(TR EEC 41/2017)」は、2017年3月3日のユーラシア経済委員会評議会の決定によって採択されました。
ロシアはTR EEC 41/2017をDecision 1019(2016年10月7日)2)として公布し、発効日は2021年6月2日としました。
TR EEC 41/2017は、14章71条、附属書7で、41ページのEU REACH規則からするとコンパクトな構成です。主要事項(意訳による要旨)は次のとおりです。
EEU RoHS法(電気・電子製品中の有害物質の使用を制限するユーラシア経済同盟の技術規則)は8章36条3附属書で構成されています。
この内容は、前記しました2017年5月18日のコラムに解説しています。技術規則の採択日(Document adoption date)は2016年10月16 日、告示日(Document publication date)は2016年12月23日、発効日(Date of its entry into force)は2017年1月22日です。ロシア国内法は、2016年10月18日に決定No.113として告示しました。
その後、2018年1月にEECは、2020年3月31日まで移行期間を認める決定をしました。EECの告示はサイトから確認できなかったのですが、各認証機関のサイトでEECの決定が発表されていますので、紹介しました。
EEUの技術規則は国内法に転換され、発効日なども決まりますが、EEUが移行期間を再設定することがあります。
2019年1月末時点での技術規則(Technical Regulations of the Customs Union/Eurasian Economic Union)は、CU TR 001/2011(鉄道車両の安全性)からTR EAEU 044/2017(天然ミネラルウォーターを含む包装飲料水の安全性)までの44規則です。
さらに、「電力消費機器のエネルギー効率に対する要求」「食品と接触する物質の安全性」「建築物の安全性、構造および建築材料」などが検討されています。
(1)TR CU 008/2011(おもちゃの安全性)
2011年9月23日のCCU決定(関税同盟委員会)No.798で採択され、2012年7月1日に施行されました。
適用範囲は、ユーラシア経済連合(EEU)で生産されるか、またはEEUに輸入されるすべての玩具に適用されます(たとえば、人形、おもちゃの楽器、パズル、子ども用ボール、粘土、子ども用プールなど)。
次は適用対象外です。
また、オーダーメイドの展示品や見本サンプルには適用されません。
技術規制に対するおもちゃの適合は、認証(適合証明書)の形で行われます。
(2)TR CU 009/2011(化粧品の安全性)
2011年9月23日のCCU決定№799に採択され、2012年7月1日に施行されました。適用範囲は、EEUの地域で流通しているすべての香水および化粧品を対象としています。
ただし、次は適用対象外です。
化粧品の適合性は次の形で作られています。
(3)TR CU 019/2011(個人用保護具の安全性)
2011年12月9日のCCU決定No.878により、関税同盟の技術規則019/2011が採択され、2012年6月1日に施行されました。
適用範囲は、EEUで流通している個人用保護具(personal protective equipment:PPE)に適用されます。
対象となる個人用保護具の種類
次の種類のPPEには適用されません。
定義は次です。
個人用保護具:人体および/または危険性に対する有害な影響を防止または軽減するための特別な手段です。 安全個人用保護具:以下にリストされた個人用保護具の操作において危険な要因にさらされたときの人体の安全性を意味します。
個人用保護具の適合性評価は、次の形式で行われます。
EEU、ロシアの技術規制は、EUのニューアプローチ指令のように、技術規則を国内法で引用しています。
規制内容もEMC規則や低電圧規則もありニューアプローチ指令と類似したものとなってきています。
今回、ロシア、EEUをテーマとし、EUの規制法に類似していることをまとめとました。輸出先国が多い場合は、EUの技術規制を参考にすることが効果的であると拡大して考えることができると思われます。
(松浦 徹也)
引用資料
1)http://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/time_latest.htm
2)https://docs.eaeunion.org/docs/ru-ru/01413938/cncd_18052017_19
3)http://docs.cntd.ru/document/1200107879
4)http://docs.cntd.ru/document/1200107846
5)https://docs.eaeunion.org/ria/ru-ru/0112999/ria_29052018_doc.pdf