電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
貴社がEUに輸出している製品がRoHS指令対象の電気・電子機器であれば、規制対象の特定有害物質について最大許容値(閾値)を超えていないことを確実にする必要があります。輸入業者が、当局の要求に応じて技術文書や情報による十分な証拠を提示して適合を証明しなければなりません。セットメーカーである貴社は輸入業者の要求に応えられるように準備しておく必要があります。
そのための基本はサプライヤー提供の非含有証明書です。貴社は部品材料のサプライヤーおよび外注先に対して納品時に非含有の証明書の添付を義務付け、入手したら保管・管理しておく必要があります。英国のRoHS Regulations Government Guidance Notes 35項(Material Declaration)では保管期間が4年間と決められています。
また、前述のGuidance NotesのANNEX D(遵守プロセス例)37項では分析証明書の偽造の例もあるとして、自己宣言や分析証明書は正確性のため検証されなければならないとしています。つぎの場合、製品に使用している部品・材料自体による、または第三者への委託による分析が望ましいとしています。
さらに、6制限物質の最大許容値の遵守についてそれらの証明をより確実にするために、Guidance Notes 37-38項では部品・材料自体、または第三者への委託による部品・材料の分析が望ましいとし、適切な分析技術の採用を勧めるとともに、ANNEX Dで分析の基準を示しています。
また、適切な分析法を採用することを示し、分析基準は上市する製品の量や供給者との関係、禁止物質の存在、リスク含有する危険性の程度、含有する物質の環境への影響の大きさに依存するとし、使用する分析方法の限界について理解を確実にし、考慮しなければならないとしています。
貴社では、既に不使用証明書を入手していますので、加えて部品・材料のサプライヤーより非含有証明書(含有数値一覧表を含む)が必要です。後追いでも入手をお勧めします。
また、受入検査については均質材料の部品について蛍光X線分析装置で実施されているとのことですが、前述のGuidance Notesの考えに沿うものであり、非破壊で短時間に測定できるので有効だと思います。ただし、複合材の部品については時間を要するため検査されていないとのことですが、Guidance Notes ANNEX Dの基準も参考にされ、できればこれについても方法を工夫して検査されることをお勧めします。
複合材についても、機械的処理で均質材に分解すれば蛍光X線分析装置で測定できます。例えば、電線であれば金属線と絶縁皮覆に、また、半導体のパッケージでは同様にしてモールディングのプラスチック、リードフレームの錫めっき、リードフレームの合金、ボンディングワイヤーなど均質材に分解できます。
しかし、複合材の部品については破壊検査となり、均質材への分解、検査に時間と手間を要するものがありますので、つぎのような方法で実施することをお勧めします。