電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令では特定有害物質として6物質の含有制限を義務付けていますが、現状の技術等では、代替が困難な用途については「適用除外用途」が定められ、適用が除外されています。
ご質問のFL表示管が、2010年9月に公表された現状の適用除外用途に関する指令(2010/571/EU)の「除外項目5(b):蛍光管のガラスに含まれる0.2wt%を超えない鉛」の蛍光管に該当するかは明確に判断できません。
メーカーの中には、FL表示管は旧指令の「除外項目(5):“陰極線管、電子部品および蛍光管のガラスに含まれる鉛”」に該当するとして、グリーン調達基準を公表しているところはありました。
2009年2月にOko-Institut e.V.とFraunhofer IZMから出された適用除外項目の見直し報告書では、旧指令の「除外項目(5):“陰極線管、電子部品および蛍光管のガラスに含まれる鉛”」については、個々に分けて考察しています。
この中では、蛍光管のガラスについてすでに鉛フリーのガラスの技術・生産ができているが、鉛含有のガラスが再利用されているため、直ちに除外から削除できないとしています。このため、今回除外項目改正の指令においては、「除外項目5(b):蛍光管のガラスに含まれる0.2wt%を超えない鉛」としています。
ご質問のFL表示管がこの除外項目に該当する場合、蛍光管のガラスに含まれるのであれば、最大許容濃度以上であっても、0.2wt%までは適用除外となります。
また、「“電子部品(…)のガラス中の鉛”」については、「除外項目(7c):電子セラミックパーツ中の鉛」に統合し、この除外項目を3分割する提案になっていました。その結果現行指令では、「除外項目7c-I:キャパシタ中の誘電セラミック以外、例えば、圧電素子、あるいは、ガラスまたはセラミックマトリックス化合物中に鉛を含有する電気電子部品」、および、セラミックキャパシタに関する除外項目「7c-II」、「7c-III」に分割されています。
ご質問のFL表示管がどの除外項目に該当するかの判断については、関係機関に確認することをお勧めします。
なお、5(b)に該当する場合でも、報告書によればその除外は期間限定になると考えられますので注意が必要です。
なお、RoHS指令は2010年11月に改正案がEU議会で採択され、2011年3月に欧州理事会の採択文書が公開されました。11月のEU議会採択(PDFファイル)時には「5.陰極線管、電子部品および蛍光管のガラスの中に含まれる鉛(Lead in glass of cathode ray tubes, electronic components and fluorescent tubes.)」として記載されていますが、欧州理事会採択文書では、現行法におけるリスト(2010/571/EU)に変更されています。