電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
改正RoHS指令(2011/65/EU)では対象製品が拡大され、今まで除外されていたカテゴリー8とカテゴリー9の製品が改正RoHS指令の対象に組み込まれると共に、RoHS指令適合製品についてはCEマーキング貼付、適合宣言書および技術文書の作成・保管が、EU域内に製品を出荷する製造者に対して義務付けられました。
改正RoHS指令のCEマーク貼付義務に関しては2013年1月3日以降順次適用になります。
貴社の製品が対象となっているカテゴリー8とカテゴリー9の製品に関しては以下の日程で適用されます。
●カテゴリー8
医療機器: 2014年7月22日以降
体外診断用医療機器:2016年7月22日以降
●カテゴリー9
監視・制御機器(一般用):2014年7月22日以降
監視・制御機器(工業産業用): 2017年7月22日以降
1985年に制定されたニューアプローチ指令では、EMC製品指令を始めとする22種の指令の対象となっている製品のEU域内への出荷に対して、CEマークの貼付を課しています。
製品にCEマークを貼り付けるためには、それぞれのニューアプローチ指令で規定されている製品の安全に関する必須要求事項に対して対象製品が適合していることが必要です1)。
製品が複数のニューアプローチ指令の対象の場合、製品に貼り付けられたCEマークは、これらすべての指令の必須要求事項に適合していることを示しています2)。
しかし、そのCEマークだけではどの指令の対象になっているかはわらないので、その旨は製品の適合宣言書に記載することになります。
今回RoHS指令が改正されたことにより、ニューアプローチ指令に記載されている要求事項に加えて、改正後のRoHS指令に規定されている要求事項(整合規格)を満たさなければCEマークを貼り付けることができず、EU域内への出荷が認められないことになりました。
その整合規格は官報(Official Journal of the European Union)で告示されることになっておりますが、現時点(2012年4月27日現在)ではまだ確認できていません。
整合規格がない場合にはIEC62321の順法証明測定を採用することもできますが、改正されたRoHS指令の運用前には告示されると考えられます。
貴社の対応としては、適用日以前以降で以下のように対応するとよいと思います。
1.適用日以前
現状のままEMC指令に対応した製品にCEマークを製品に貼付け、適合宣言書にもその旨を記載した形でEU域内に製品を出荷して構いません。
2.適用日以降
モジュールA(内部生産管理)を用いて整合規格の適合宣言(自己 宣言)して改正RoHS指令に対応したCEマークの貼付をEU域内に出荷される製品に対して行います。
モジュールAは公認認証機関(NB)の関与が不必要な適合性評価手続きです。その上、改正RoHS指令にも対応していることをその製品の適合宣言書に追記します。
同時に、改正RoHS指令では第7条において義務化されている上記適合宣言書に記載されている内容の根拠となる技術文書も作成しなければなりません。技術文書の記載内容に関してはQ302および2012年3月30日付のコラムをご参照ください。
以上のように、適用日以前においても整合規格の告示以降は、適用日以降の改正RoHS指令に関する上記義務に対応するための準備を進めておくことが必要です。
それと同時にCEマーキングは、貼付義務のない機器にCEマーキングを貼り付けることはできないので、自社の製品がどのカテゴリーに含まれるのか適用前に精査してみることも必要だと考えます。
1)
http://ec.europa.eu/enterprise/policies/single-market-goods/files/blue-guide/guidepublic_en.pdf
2)
http://www.jetro.go.jp/jfile/report/05000942/05000942_007_BUP_0.pdf