電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
改正RoHS指令では、新たにカテゴリ11として「カテゴリ1から10に含まれないその他の電気電子機器」が追加されました。これにより、軍事用機器や大型固定装置、輸送用機器等の一部例外を除き、直流1,500v以下、交流1,000v以下で稼動するすべての電気電子機器に原則適用されることになります。貴社の電動機も電気を利用する製品であれば、原則RoHS指令が適用されると考えます。
改正RoHS指令は第7条で、適用範囲の電気・電子機器の完成品(the finished product)の上市前に附属書VI基づく適合宣言書とCEマーキング貼付が義務付けられました。ご質問のケースの最終製品とは、欧州域外で製造された貴社の電動機が、欧州域内の完成品メーカーにより最終製品に組み込まれたものになります。
一般的な最終製品に組み込む電動機は、改正RoHS指令の要求するCEマーキングは不要ですが、一部ギヤボックスが組み込まれているようなモーターなどは、低電圧指令や機械指令によりCEマーキングの貼付(指令適合)義務があります。
EUに上市する製品は、RoHS指令も含めてNew Approach指令で要求されるすべての整合規格への適合性評価は行っておくことが必要です。
したがって、RoHS適用の電気電子機器の構成機器となる貴社の電動機も特定有害物質を非含有としなければなりません。
しかし、改正RoHS指令第16条2項(適合性の推定)には、以下の規定があります。
「EU官報にて通達された整合規格に則り、第4条規定の遵守を確認するための試験もしくは対応がされた、もしくは評価がされた原料については、本指令に適合しているものとみなすこととする」
改正RoHS指令への適合性を満たしていることを示す根拠となる技術文書および適合宣言書作成等は、電動機を製作している貴社に直接義務付けられてはいませんが、セットメーカーは購入部材の適合性(非含有)の保証を求めてくると思います。
また、Decision No 768/2008/ECの附属書I・R7条では、製品を誰から購入し誰に販売したかの記録を残す義務が要求されており、トレサビリティが強化されています。そのため、EU域内の完成品メーカーから貴社が納入する電動機に対し、RoHSの特定有害物質の非含有等のグリーン調達対応への要請に適格に答えていくことが求められます。