RoHS(II)指令不適合品の通知については、EUの
ガイドライン(A Guide to corrective action including recalls)が参考になります。
同ガイドラインの3.2では、
- 対象となる個別製品またはバッチを明確にできる情報
- 製品が与えるリスクの完全な説明
- 製品の追跡に関連するすべての利用可能な情報
- 消費者保護のための実行された(もしくは予定の)行動の説明
を市場監視機関に報告することで、効果的な改善活動へのアドバイスが得られるとされています。具体的な報告書式の提示はありませんが、付属書IIに消費者向けの案内文書のよい例が挙げられていますので、前記の情報を踏まえたうえで参考にされることがよいと思います。
各加盟国での報告先は、付属書IIIにリスト化されており、主なものは次の通りです。
- フランス
Ministere de l' Economie, des Finances et de l'Industrie (MINEFI)
www.minefi.gouv.fr
- ドイツ
Bundesministerium f r Wirtschaft und Arbeit (BMWA)
www.bmwi.de
- イギリス
Local Authorities Coordinators of Regulatory Services (LACORS)
www.lacors.gov.uk
なおRoHS(II)指令では、指令に不適合であることが想定される場合の事業者の義務について次のように規定しています。
- 製造者(第7条)
(i)当該EEEの適合やリコールのための必要な正しい措置を取り、直ちに加盟国の国家機関に非適合及び措置の詳細、および結果を報告する。
- 輸入者(第9条)
(c)適合に至るまで当該EEEを上市してはならず、その旨、製造者および市場監視当局に報告する。
(e)非適合EEEとEEEリコールの記録を行い、それらを流通業者に報告する。
(f)当該EEEの適合やリコールのための必要な正しい措置を取り、直ちに加盟国の国家機関に非適合及び措置の詳細、および結果を報告する。
- 流通業者(第10条)
(b)適合に至るまで当該EEEを上市してはならず、その旨、製造者および市場監視当局に報告する。
(c)当該EEEの適合やリコールのための必要な正しい措置を取り、直ちに加盟国の国家機関に非適合及び措置の詳細、および結果を報告する。
以上の通り、製造者はもちろん各加盟国で製品を取り扱う輸入者、流通業者にも国家機関への報告が義務付けられていますので、製造者としては各加盟国の国家機関への報告だけではなく、サプライチェーン内に情報を正しく伝えることが必要となります。それらのシステムを検討する折にも上記ガイドラインは参考になるものですので、ご確認をお勧めします。
また、EUでは効果的で首尾一貫した欧州の法的枠組みをつくり上げるために、NLF(the New Legislative Framework:新しい法的枠組み)という共通枠組みが設定されています。NLFにある対策のパッケージは、以下のようなものです。
- 第三国からの輸入も含め、市場監視ルールを改善し、消費者と職業人の保護を強化し、
- 評価機関の通知要求のルールをさらに明確で強固なものとすることによって、製品の適合性評価の質を向上させ、
- CEマーキングの意味を明確にし、
- 工業製品に関する共通の法的枠組みを、将来の立法の際に用いる手段をまとめたものとして確立する。
RoHS(II)指令にはNLFが適用されますので、違反を確認した当局はEUの緊急警報システムRAPEXを使用すると考えます。すなわち、1つの国で摘発された事項がEU全体に通報されるということになります。