電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
欧州化学品庁(ECHA)は、3月4日付でREACH規則の認可対象候補物質(SHVC)として新たに10物質の提案に対するコンサルテーションを開始しました。意見募集は4月18日まで行われ、その後検討され6-7月頃には第9次のSVHCとして公表される見込みです。CMR物質と同等の健康影響が懸念される物質としてカドミウムと酸化カドミウムの2物質が提案されています。
カドミウムを制限物質として規定しているものには、すでにRoHS指令、ELV指令、包装材指令などがあります。それぞれのカドミウムの閾値は次のようにREACH規則とは異なっています。
REACH規則のSVHCの閾値は成形品あたり重量比0.1%ですが、REACH規則以外の適用される法令により閾値が異なります。また、RoHS指令には用途除外があり、用途除外されたカドミウムを成形品に0.1%以上含有する場合にはREACH規則(SVHC)が適用されるので注意が必要です。
日本ではサプライヤー間の情報伝達の共通化を図るために、JAMPにより業界横断の共通調査ツールでの情報交換、情報基盤の構築が図られ広く利用されています。具体的には、主に原材料(化学物質、混合物)の化学物質調査には「MSDS」、「MSDS plus」、部品(成形品)には「AIS」の支援ツールを使用して伝達します。最終製品については「AIS」の情報をもとに最終製品に含有する化学物質の含有情報(例えばIMDS、JGPSSIなど)を確認します。
JAMPではサプライチェーン全体が合意できると思われる国内外の関係法規に限定した物質を管理対象物質として扱います。報告を必須とする法規には、化審法、安衛法、毒劇法、RoHS指令、ELV指令、REACH規則(SVHC)などがあり、各法令の対象物質がリストされています。 カドミウムはすでに管理対象物質として収載済みですが、SVHCに決定された場合には新たにSVHCリストに追加されます。
JAMPでの管理対象物質の報告の閾値の基準は下記のとおりです。
したがって、含有率は法規制の閾値に関わらず、把握している情報を記載し報告します。
以上の通り、広く利用されているJAMPによる情報伝達がよいのではないか思われます。原材料メーカーの場合は、「MSDS」「MSDS plus」を作成し、川下企業に伝達することになります。