電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2015年6月4日にEUの委員会委任指令〔COMMISSION DELEGATED DIRECTIVE(EU)No 2015/863 of 31 March 2015〕が官報公示され、RoHS(II)指令附属書IIの制限物質にフタル酸エステル類4物質(DEHP、BBP、DBP、DIBP)が追加されました。
加盟国は、2016年12月31日までに上記指令に対応する国内法の整備を求められています。
それらの物質の均質材料あたりの最大許容濃度と適用開始日は以下の通りです。
1.追加4物質の均質材料当たりの最大許容濃度
DEHP 0.1wt%
BBP 0.1wt%
DBP 0.1wt%
DIBP 0.1wt%
2.適用開始日と適用製品
上記の制限は、(1)2019年7月21日以前に上市されたカテゴリー8とカテゴリー9以外の電気・電子機器(EEE)、(2)2021年7月21日以前に上市されたカテゴリー8およびカテゴリー9の体外診断機器を含む医療機器、(3)産業用監視・制御機器を含む監視・制御機器のケーブル、(4)修理、再使用、機能更新または能力向上のためのスペアパーツには適用されません。
RoHS(II)指令においては、上市の定義は以下のようになっています。
ご質問の2019年7月21日以前にEU内に保管されている在庫品が、RoHS(II)指令の制限対象物質に追加されたフタル酸エステル類4物質の適用対象となるかどうかは以下により判断されます。
すなわち、2019年7月21日以前に通関し、輸入者が在庫していた場合、有償無償に関わらず、当該在庫品を第三者に引き渡した日が上市日となり、その日に適用される規制が適用されます。
従いまして、ご質問の在庫品が2019年7月21日以前に第三者へ所有権が移転されていれば、その時点で上市済みとなりますので、フタル酸エステル類4物質のRoHS(II)指令の含有制限は適用されません(BLUE Guide 20143.3項「輸入者」参照)。