電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令(2011/65/EU)第4条(予防)では「加盟国は上市(placed on the market)される電気電子機器が、ケーブル及びその電気電子機器の修理、再利用、機能改善または能力改善のスペアパーツを含めて、附属書IIに収載されている物質を含有されないことを確実にする」としています。
上市する時点での適用される規制に適合していることが要求されます。
上市の定義は、第3条(用語の定義)第12項で「EU市場において電気電子機器を最初に利用できるようにすることを意味する」としています。
さらに、第3条第9項で、輸入者の定義を「EU域内に本拠地を置くあらゆる自然人または法人で、第三国からの電気電子機器をEU市場に上市するものをいう」としています。
上市は、税関から輸入者に引き渡された時点ではなく、輸入者から有償、無償を問わず第三者に引き渡された時と解釈できます、
それに関する解説は、2014年12月19日付けコラムを参照ください。
上述を踏まえてご質問の除外について整理してみます。
結論としては、上述に照らして、適用除外用途の有効期限前にCEマークを貼付けした最終製品を、そのまま同じ製品で適用除外用途の有効期限後にEUに輸出することはできません。
適用除外用途の有効期限後にEUに輸出するためには、適用除外用途の制限対象物質がRoHS指令の規制する物質制限を満たすように製品を改良することが必要となります。
製品の改良に伴い、RoHS指令が規制する物質制限を満たしていることを証明するために、適合宣言書(DoC)やCEマーキングを含むRoHS(II)の一連の手続き上の要求を見直すことが必要となります。
RoHS 2 FAQのQ8.7において次のような質問があります。
「製品が既に物質制限を満たしているのか、それとも適用除外用途の適用を受けている移行期に当たるのかを如何にして知ることが出来るのか」
その回答は、DoCを見ると判明するとなっています。
このことから、DoCで適合宣言している「電気電子機器の宣言の対象(附属書VI)」の技術文書(TD)で、製品は既にRoHS指令が規制している物質制限をすべて満たしているのか、適用除外用途の適用を受けているのかの説明をする必要があることになります。
適用除外用途の有効期限後に輸出する製品のTDには、適用除外用途の制限対象物質がRoHSの求める物質制限を満たしていることを確証することが必要となります。
適用除外用途の有効期限前にEUに上市した製品は、卸店や小売店での在庫品はその後も市場で流通可能です。
但し、第12条(経済事業者の識別)で、10年間のトレサビリティが要求されていますので、最終使用者から順法確認が出される可能性はあります。
(注):http://www.bing.com/search?q=RoHS+2+FAQ&form=IE10TR&src=IE10TR&pc=TAJB