電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令1)では、原則、0.1wt%を超える鉛の含有は禁止されています。しかし、「禁止物質の除去、代替が科学的・技術的に不可能である」「代替品の信頼性がない」などの理由から代替が困難な一部用途を「適用除外用途」として、有効期限を定めて含有制限の免除や許容濃度の緩和が認められています。
附属書III 6(a)に、機械加工用の鋼材中および亜鉛メッキ鋼板中に合金成分として含まれる0.35wt%までの鉛の記載があり、適用除外となっています。
2016年6月27日(報告書日付けは6月7日)に適用除外用途の見直しに関する調査報告書(パック9)2)が提出され、適用除外用途ごとに製品カテゴリーが特定され、有効期限が設定されています。
報告書の勧告内容が、そのまま法文になるとは限りませんが、今後、この報告書の勧告を受けて欧州委員会が改正案を作成し、正式に決定された場合にはEU官報にて公表されます。
ご質問の「鉄線に溶融亜鉛メッキを行った金網」の適用除外ですが、今回のパック9で、ホットディップ溶融亜鉛めっき鋼中の鉛に関してカテゴリー1~7、10、11で利用される場合には0.2 wt%、カテゴリー8、9で利用される場合には0.35 wt%とされています。そこで、まずは貴社の製品が利用されているカテゴリーを確認しただき、カテゴリーによる重量比を確認する必要があります。カテゴリーについては附属書Iに記載されています。
附属書III 6(a)に関しては、パック9の18項で説明されています。
カテゴリー8、9については従来通りの内容で適用開始から7年後まで延長されていますが、カテゴリー1~7、10では鋼材と亜鉛めっきが分離され、有効期限が3年および5年と個別に設定されています。
ホットディップ溶融亜鉛めっき鋼中の鉛は0.2 wt%と従来よりも低い閾値となっていますが、これはめっき浴への鉛の意図的添加は技術革新のため急速に減少してきていることと、閾値の計算は鋼材全体を前提とすることで、欧州溶融亜鉛めっき協会(European General Galvanizers Association EGGA)との協議に基づいた提案となっています。
パック9での6(a)に関する適用除外と終了または見直し期間
適用除外に関しては、将来的には、技術や科学の進歩により、適用除外用途が廃止されることもありますので、適用除外用途の動向や関連する技術動向を適宜情報収集しておくことが必要です。
1)http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2011:174:0088:0110:EN:PDF