電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS(II)指令では、第4条において「加盟国は、上市する電気・電子機器がケーブルおよびその製品の修理、再利用、機能性改善または能力改善のスペアパーツを含めて、附属書IIに収載されている物質を含まないことを確実にしなければならない。」と規定しています。
RoHS(II)指令では、第3条(用語の定義)において「上市(placing on the market)」について、「EU市場において電気・電子機器を最初に利用できるようにすること」と定義されています。さらに、「市場で利用できるようにすること(making available on market)に関しては、商業活動において有償無償にかかわらず。電気・電子機器をEU市場での流通、消費または使用のために供給すること」としています。
RoHS(II)指令はニューアプローチ指令になり、Decision 768/2008/ECおよびRegulation 765/2008/ECが適用されます。
ニューアプローチ指令のガイドである「ブルーガイド20161)」の第2.3項(PLACING ON THE MARKET)」で、「EU市場で初めて利用できるようになったときに製品は上市される」と定義されていて、以下の解説があります。
「利用できるようにする」については、上市のコンセプトは、製品の型式に関係せず、また、個別生産またはシリーズ生産に関係なく、個々の製品に適用される。したがって、ある製品のモデルまたは型式が、新しい強制要求が適用された後に、上市される同じモデルまたは個々のユニットは、この新要求に適合しなくてはならない。
「ブルーガイド2016」の第2.4項(EU域外国からの輸入品)が以下のように解説されています。(部分記述)
EU法規制は、製品がEU市場で初めて利用できるようにされるときに適用される。
EU域外国からの製品は、EU域内の最終使用者に到着する前に、自由流通リリースの手続きのために税関に引き渡される。
自由流通リリースと上市は同時に行われない場合もある。上市は、製品がEU法規制に適合して、流通、消費または使用のために供給される時点である。
税関当局および市場監視当局は、リスク分析に基づいて、当該製品の上市された時期にかかわらず、EU域外国から到着した製品をチェックし、自由流通リリース前に、適切に関与する義務と権限を有する。
これらを整理すると、
税関:自由流通リリースの許可
上市:二者以上の法人または自然人に引き渡すこと
になります。
貴社製品の輸入者(商社)が在庫品を販売する場合、上市と見なされ、その時点で「指令に適合している電気・電子製品のみをEU市場に上市しなければならない」ことになります(第9条a項)。
また、輸入者(商社)が販売後にEUの流通業者が在庫をしていた場合は、「流通業者は電気・電子機器が第4条の要求事項に適合していないと考えるか、そう考える根拠をもっている場合は、電気・電子機器を指令に適合させるまで、市場で利用できる(making available on market)ようにしてはならず、また、その結果を製造者または輸入者および市場監視当局に知らせることを確実にしなければならない。」が適用されます<第10条b項(流通業者の義務)>。
上述のとおり、輸入者、流通業者の在庫品(何時の時点で通関したものであっても)を卸店や最終使用者に引き渡すときに、その時点での法規制が適用されます。
1)https://www.mta.org.uk/system/files/resource/downloads/Blue%20Guide%202016.pdf