電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
旧法で上市した装置の修理部品は、修理依頼時点の基準(新法)でなくても、旧法の基準でもよいとの特例が指令に記述されています(第4条4項)。
この特例は、修理部品が供給されないと装置が廃棄されるので、RoHS指令の上位法の廃棄物法のヒエラルキーにより特例が出されています。
RoHS指令は電気・電子機器が対象ですが、修理を想定してスペアパーツにも言及しています。
ただ、ご質問はこの逆の状況になります。
第3条の用語の定義で、「スペアパーツとは、電気・電子機器の部品と交換できる部品を意味する。電気・電子機器はこの部品がないと意図されたとおりに機能できなく、部品をスペアパーツと交換することにより電気・電子機器の機能の回復または改善される」となっています。
この定義中の「意図された機能」は、CEマーキングの技術文書の記述内容になります。
整合規格であるEN50581の4.2項では、技術文書に電気・電子機器の構成部品情報やその関連を示すことを求めています。この要求による順法確証はBOM(Bills of materials)が利用されることがなります。そのため、BOMに記載された以外の部品を使うことは意図された機能ではありません。
スペアパーツは、第4条第1項で「上市される電気・電子機器がケーブルおよび当該電気・電子機器の修理、再利用、機能性改善または能力改善のためのスペアパーツを含めて、附属書IIにリスト化されている物質を含まないことを確実にする」ことが求められます。そのため、スペアパーツは上市した時期の機器と同じ基準でなくてなりません。
CEマーキングの技術文書のBOMに記載されていない部品を使用することは、改造となる可能性があります。ブルーガイド2.1項では、改造の場合はCEマーキングの再評価が必要となります。
顧客がフタル酸エステル類含有のスペアパーツを購入し、顧客が修理した場合は、状況によりGPSD(2001/95/EC)の安全でない製品を販売したとされます。
顧客責任とはいえ、電気・電子機器の製造者としては、現地法人などの輸入者のスペアパーツの在庫管理を徹底し不適合使用の防止をすることがCSRの意味合いで必要と思います。