EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2008.04.25
前回のコラムでFAQの更新が行われていることについて紹介しましたが、これ以外にも、これまでに公開されているガイダンスについてもいくつ改訂が行われています。
REACH規則の対応のためには、FAQやガイダンス文書に頼らなければならないのですが、改訂のたびに、どのように改訂されたのかを調べるのに一苦労します。
FAQの改訂では、新規に加えられたもの、内容が改訂された項目には、"NEW"や"REVISED"が付けられ、その改訂の把握は容易にできます。しかし、中には削除されている項目がありますが、それについては明示がありません。また、ガイダンス文書では、どの箇所が改訂されているのか、あるいは、追加されているのかが分かりません。現時点での内容を確認するには、最新のものを注意深く読む必要があります。
今回は、FAQの更新で、気になる改訂・削除事項について紹介します。
これについては、2008年2月22日付けの本コラムで、依頼企業の個別のトン数で個別に登録するのではなく「唯一の代理人」が依頼を受け企業のトン数が合計されて登録されることになると紹介しました。この内容は、2007年12月のFAQでは、次のように記載さされています。
参照する、2008年2月に改訂された「登録に関するガイダンス」(改訂のFAQより先に出された)のセクション 1.5.3.4は、2007年12月FAQと同じ内容にはなっています。(p.23の抜粋)。
「The only representative can represent one or several "non-Community manufacturers". As he is fulfilling the registration obligations of importers, the tonnage of the substance to be registered is the total of the tonnages of the same substance covered by the contractual agreements with him and all "non-Community manufacturers" represented by him. The information requirement for the registration dossier shall be determined according to this total tonnage.」
(下線部の筆者意訳;登録すべき物質のトン数は、唯一の代理人と非EU製造者(複数)との契約による同一物質の合計である。登録文書で要求される情報は、この合計トン数によって決定される。)
この問題については、この取り扱いに異議が出され、再検討されています。そのため、その扱いが今後変更になり可能性があるため、情報の一元化のために、このような記載にしたのか、たいへん気になるところです。
2007年7月までに出されていたFAQの2.1.13.項に、ガラスに関する記載がありました。その内容は次のようなものです。(環境省仮訳より)
「2.1.13. REACH の下では、液状のガラスの材料や固体のガラス製品は、物質、調剤又は成形品のいずれに該当するのでしょうか?
液状のガラス材料(ガラス製造の過程でできる)は、ガラスが金属合金に匹敵するような特殊なものであっても、調剤に該当します。鉱物であって、加工中に化学的な変化を起こしていない液状のガラス材料に含まれる物質について、その製造者や輸入者が登録を行う必要はありません。その他の物質、例えばガラスの修飾剤、着色/脱色剤、コーティグ材、潤滑剤等として使用される物質は、登録が必要です。ガラスは、最終の形(例:ビン)となったときに成形品となります。しかし、もしもさらに加工が予定されるガラス材料として冷却された場に合は、依然として調剤に該当します。」
しかし、2007年12月のFAQには、この記載が削除されています。なぜ、削除されたのか気になるところです。この記載では、ガラス材料は調剤と明確に書かれていますが、ガラスは、EINECSにEC# 266-046-0で掲載されています。調剤としていたことが、単なる間違いであったことにより、削除されたものであると願いたいものです。
(林 譲)