EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2011.08.26
欧州委員会は2011年7月20日から改正玩具指令(Directive 2009/48/EC)の適用が開始されたことを公表しました。これに関する欧州委員会のプレスリリースの概要を以下に紹介します。
新玩具指令はEU市場において世界最高レベルの安全要求の実現を求めており、EU市場の玩具の生産、販売および管理に関連するすべての行為者は子供の保護に一層の責任を負っています。
第一に加盟国は、市場監視当局が経済オペレータに立入りを行い危険な玩具を押収したりEU域外および域内において適切なチェックを実行していることを確実にしなければなりません。
第二に玩具の製造者、輸入者、流通業者は玩具の上市前に、安全性評価を行い子供に対する危険性と潜在的な暴露を特定するよう一層の義務を負っています。最後に、製造者は玩具のトレーサビリティを確実にするため名称、住所および製造番号を表示しなければなりません。
EU委員会のAntonio Tajani副委員長は、産業界と企業の責任について以下のように述べています。
「われわれは子供の安全を第一優先とする。われわれは最高の安全性要求を要求する世界で最上の法令を持っている。しかしルールを強化するだけでは不自由分である。加盟国は市場オペレータの詐欺行為を排除するため市場監視の強化を確実にすることが必要である」
以下、プレスリリースのポイントです。
1. 改善された市場監視、CEマーキングと経営者に対する義務
新指令 (Directive 2009/48/EC)はEUで販売される玩具は、特に化学物資の使用に関連して世界的に最高の安全要求を実施しているという保証を消費者に与えます。新指令は、玩具がEUに上市される場合に実施されなければならない必須安全要求のみを定めています。
製品の技術仕様は標準機構によって決定されます。標準は新製品とアプリケーションの進展を考慮して迅速に更新されますので、特に玩具セクターに対して適切です。EU委員会は、指令の下で玩具に適用されるすべての調和規格のリストを維持しています。それら (非強制)規格の推奨文献はEU官報で発行されています。
(1) 玩具製造者、輸入者および物流業者の義務
製造者、輸入者、流通業者が指令の安全要求を履行していない場合、加盟国は罰則を科すことができます。
製造者は、適合性評価に対し次の2つのモジュールを選択できます。
(2)強力な市場監視はEU市場と法令の信頼を創出する基盤ツール
2. 加盟国が重視する必要がある新しい安全要求
(1) 化学物質
無防備な消費者である子供は、玩具に含まれる化学物質に起因するリスクからの保護が必要です。高レベルの保護を確実にするために化学物資に関する規則が強化されています。
―発がん性、変異原性または生殖毒性を有するある種の化学物質(CMR物質)は接触可能な玩具部品にはもはや認められません。例えば、パズルマットは使用される場合もっと安全でなければなりません。
―大部分の化学物質(主としてニッケル、水銀のような重金属) に対して、制限値はGMPと互換性がある場合のみに許されるとして低減されてきました。これらの制限値は、化学知識の進歩を考慮して更新されます。例えば、六価クロムによる皮膚炎への接触による悪影響は減少するものと思われます。
―もしそれらが潜在的に強いアレルギー性を持っていればアレルギー性の芳香剤は禁止され、特定の消費者に対して潜在的にアレルギー性でがれば、玩具にその旨ラベルを貼付しなければなりません。
(2) 誤飲を避けるための安全性要求
玩具市場の技術進歩は、玩具の安全に関連した新しい問題を提起し、消費者の関心を高め、それらの進歩を考慮して特定の安全要求が強化されてきました。
―子供が息を詰まらせたり窒息死することを防止するため、玩具およびその部品の規制が強化されました。特に吸引カップや玩具のトランペットのような玩具の新しいリスクに対し、部品の小形化はもはや許されません。
―食品中または食品と一体に混在している玩具は、消費者が食品と玩具を間違えることにより窒息するような潜在的リスクを避けるために、食品と玩具は必ず別の包装をしなければなりません。
―食品に固定され一体となっていて玩具に接触するために、それ以前にその食品が消費されなければならない玩具は禁止されています。
(3) 玩具に対する警告
新指令は、玩具に対する警告の規定を強化し玩具に対する安全要求を増進しています。
―事故を防止するため、玩具に記載する警告は消費者に見やすく、読みやすく、わかりやすい言語であること。
―警告の誤用や適用可能な安全要求を巧妙に回避することを予防するため、玩具の意図された使用を否定する警告は許されません。
例えば、「36カ月未満の子供には適当でない」という警告は、この年齢グループに対して意図的にはっきりと玩具に貼付することはできません。
―食物に含まれるか食品と一体の玩具は次の警告をすべきである。
「玩具は食品の中にあります:大人が管理することを推奨します」
3. 重要産業セクターとしてのEU玩具産業
EU玩具産業は、世界の玩具産業の25%以上を占めています。玩具産業の国際化は非常に高度あり、EUで最も活動的な産業分野の1つです。2009年のEUの玩具生産は約5億ユーロ (製造出荷額) で、その80%はフランス、ドイツ、イタリア、アイルランド、スペイン、イギリス、チェコおよびポーランドが占めています。EUでは玩具分野においておよそ2,000の製造者が活動しており、この分野の80%近くは従業員50人以下の中小企業で構成されています。
玩具産業は製造、研究開発、マーケティング、販売、物流その他多くのサービスにEU全体で10万人を直接に雇用しています。2010年のEU27カ国から非EU諸国へのトラディショナル玩具の輸出総額は、2009年比10.2%増の 1億500万ユーロで、非EU諸国からEU27カ国へのトラディショナル玩具の輸入総額は、2009年比20.3%増の6.億960万ユーロでした。2009年のEUにおけるトラディショナル玩具の小売市場総額は14億4850万ユーロで、税込販売高では、EU玩具市場は2009年が世界トップでした。2009年に幼児、入学前子供用玩具はシェア20%でEU玩具のカテゴリー別のトップでした。
(瀧山 森雄)