EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2012.05.11
各国の化学品の分類、ラベル表示、情報伝達のGHS対応が本格化してきました。今回は、中国での化学品の輸出入のラベル、SDSのGHS準拠の税関の検査強化の状況について紹介します。
中国では、2011年12月1日に施行されました「危険化学品安全管理条例」により、ラベル、SDSについては、GHSに対応することが必要になりました。従来、税関でのラベル、SDSの検査の情報は聞こえてこなかったのですが、2012年2月1日から税関での検査が強化されています。
危険化学品安全管理条例が適用される化学品は、これから公布される「危険化学品目録」に収載される化学品となっています。しかし、「危険化学品目録」の公表は今秋以降といわれており、現時点ではこの目録がない状況です。このような状況で、化学品のラベル、SDSがGHSに対応しているかの検査が強化されています。
検査の強化の内容は、中国国家質量監督家検験検疫総局から2012年2月29日付けで発表された、「注1)」で説明されています。
公告は、税関では検査が強化された2012年2月1日より後に発表されていますが、2月1日以前に通達として出されていたようで、同様の内容は2月1日に上海検験検疫総局からも発表されています。
検査対象の化学品は、改正された危険化学品安全管理条例の「危険化学品目録」に代えて、旧条例で対照となっていた「危険化学品名録(2002年版)」としています。
注1)http://www.aqsiq.gov.cn/zwgk/jlgg/zjgg/2011_1/201203/t20120313_211368.htm
検査通達の内容は下記の通りです。
4月20日までで、ラベルの貼付がないかGHS非対応のラベルのために155万トンの化学品が押収されたとのことです。金額にして$4,514万で、検査された輸入品の11.5%に相当するそうです。
また、別のニュースとして、中国からの要求として危険化学品に該当しない物品にもGHS対応のラベル、SDSの提供を要求されていることもあるようです。税関の検査官の要求か、あるいは輸出先からの要求かはわかりませんが、まだまだGHSに対する理解は十分でないようです。
輸出品が危険化学品なのかの詳しい知識を持たない検査官もいるのではないかと思います。
このような状況を考えますと、ビジネスを円滑に進めるためにすべての化学品にラベル、SDSを提供するのも1つの方法かもしれません。輸出品にはその製品を示すラベルを添付されていると思います。「化学品名録」に収載されていない化学品についてもGHS準拠のラベル、SDSを提供すること、さらには危険でない化学品についても、危険化学品でなければそのことがわかるラベルを貼付することにより、通関を円滑にすることができるのではないかと考えます。
これからは大変手間がかかることになりますが、化学品による安全を確保するためにも、すべての化学品にGHS準拠のラベル、SDSを提供することに業務の一環として取り組むことが重要になるように思います。
(林 譲)