EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2014.08.15
SVHCについて2014年7月18日付けコラムで紹介しましたが、現在、SVHCは155物質となっています。また、Registry of Intention には2物質増えて8物質の提案書が提出されることになっています。
これらに加え、今後どのような物質をSVHCにするかは、昨年12月に発表された「SVHC Roadmap to 2020 Implementation Plan」に説明されています1),2)。Roadmapの実施計画では、(1)新たにSVHCとするスクリーニング、(2)この物質に適切なリスク管理の選択肢(RMO:Risk Management Options )の分析を行うに当たって、どのように組織化し、調整して実施するかに焦点を当てるとしています。
EUの工業会連盟であるOrgalimeはこの実施計画を歓迎しています。しかし、Orgalimeは、REACH規則と他の工業会ごとに関係する規制は、それらが補完的であるべきだが、必ずしも整合が取れていず、それらが調整されていないとの立場からRoadmapの実施計画を成功させるために次のような提案を発表しています3)。
・異なる可能性のあるRMO(REACH、および、産業分野ごとの特定の化学物質規制、廃棄物、産業排出の政策措置や中核となる職場労働安全衛生の政策措置などの他の関連のEUの法律を含む)、および、どのケースで、どの選択肢が、一般的により適切であると考えられるかについての共通の理解のために。
・リスクの証拠、リスク、デモンストレーション、規制措置の必要性に関する正当化の徹底的な評価、および、選択したRMOと関連産業分野への提案された対策の影響の評価を含む、三段階のRMO分析の推奨。
・RMO報告でのキーとなる情報。
以上のように、EUの工業会は現在のSVHCを特定するプロセスの改善を求めています。REACH規則は、EU域内の上流の化学物質の製造者だけでなく、域外の企業にも関わります。また、化学物質の製造者だけでなく、川下のユーザーにも深く関わっています。
SVHCさらには認可対象とする附属書XIVに収載する場合、どのような用途でどのくらいの産業分野に影響をもたらすか、サプライチェーンでの対策のために必要な時間やコストを考慮することを求めています。
今後、ECHAのSVHCの選定において、より透明性のある情報開示がされ、それに対して産業界から意見が出しやすくなることにより、REACH規則は産業界が対応の取りやすいものになることを期待したいものです。
1)http://echa.europa.eu/documents/10162/19126370/svhc_roadmap_implementation_plan_en.pdf
2)/well/reach/column/131227.html
3)http://www.orgalime.org/position/risk-management-options-rmo-analysis-following-svhc-roadmap-2020