EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2015.05.01
昨年(平成26年)6月25日に労働安全衛生法の改正が公布され、化学物質管理の強化が行われることになっています。施行日は平成28年6月を目途に2年を超えない範囲において政令で定める日となっています。
この労働安全衛生法の改正における化学物質管理に関わる条文は以下の通りです1)。
平成26年6月25日公布の労働安全衛生法改正の化学物質管理に関する内容
第二節危険物及び有害物に関する規制
(表示等)
第五十七条
爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は前条第一項の物を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあっては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。
一 次に掲げる事項
イ 名称
ロ 人体に及ぼす作用
ハ 貯蔵又は取扱い上の注意
ニ イからハまでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
二 当該物を取り扱う労働者に注意を喚起するための標章で厚生労働大臣が定めるもの
2 前項の政令で定める物又は前条第一項の物を前項に規定する方法以外の方法により譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号の事項を記載した文書を、譲渡し、又は提供する相手方に交付しなければならない。
(第五十七条第一項の政令で定める物及び通知対象物について事業者が行うべき調査等)
第五十七条の三
事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第五十七条第一項の政令で定める物及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならない。
2 事業者は、前項の調査の結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。
3 厚生労働大臣は、第二十八条第一項及び第三項に定めるもののほか、前二項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
4 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。
第57条の改正の要点は、改正前に規定されていました「ロ成分」の項目が削除されていることです。従って、平成28年6月頃からは、混合物のラベルに成分情報を記載しなくてもよいことになります。
しかし、この改正点は一見規制が緩和されているように見えますが、背景は以下のような状況です。
平成26年6月公布の改正は、平成25年12月24日付の労働政策審議会建議「今後の労働安全衛生対策について」に沿って行われています。
この建議では、
(1)リスクアセスメントの義務化
(2)ラベル表示対象物質をSDS対象物質まで拡大
(3)(2)を行った場合には、混合物のラベルに表示すべき成分が大幅に増大し、かえって情報が伝達しにくくなる恐れがあることから見直し
等が適当とされています。
このうち(1)についは上記の「第57条の3」の新設、(3)について上記「第57条での成分」の削除として、労安法の改正が行われました。
残りの(2)については、改正法の施行に伴い、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)の改正を行うために、以下の内容についての意見募集が平成27年4月14日から5月13日まで行われています2)。
「労働安全衛生法施行令一部を改正する政令案」の骨子
(1)表示義務の対象物の範囲の拡大等(労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)の一部改正)
意見募集が行われた後に、必要な規定の整理、その他の改正が行われ、平成28年6月1日に施行される予定です。
参考資料
1)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000049191.html
2)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495140618&Mode=0
(林 譲)