EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2015.05.22
2015年4月3日掲載の本欄コラム(中国「危険化学品目録2015」の公布)において既報のとおり、「危険化学品安全管理条例」(国務院令第591号)を施行するための重要な文書である「危険化学品目録」2015年版(以下、新目録)は、2015年5月1日から施行されています。これに伴い、従来の「危険化学品目録(2002年版)および「毒劇化学品目録」(2002年版)は廃止されました。
中国では、危険化学品管理について目録管理制度を導入しており、目録の対象となった危険化学品は、国の関連法令に基づき、行政許可等の手段で重点管理をします。 混合物や目録に未収載の危険化学品については、中国内危険化学品の危険特性を把握するため、危険化学品登記制度・鑑定分類制度を採用し、企業は「化学品物理危険性鑑定・分類管理弁法」(国家安全生産管理総局第60号令)およびその他の関連法規に基づき鑑定分類を行い、危険化学品と分類された場合、「危険化学品登記管理弁法」(国家安全生産監督管理総局第50号令)に基づいて危険化学品登記を行わなければなりません。
「危険化学品目録」については、中華人民共和国国務院令第591号において改正案が採択され、2011年2月16日公布、2011年12月1日に施行されている「危険化学品安全管理条例」第3条において以下のとおり規定されています。
「第三条当条例の危険化学品とは、害毒、腐食、爆発、燃焼、助燃等の性質を有し、人体、施設、環境に対して危害がある猛毒化学品及びその他の化学品をさす。
危険化学品目録、国務院安全生産監督管理部門が、国務院の工業・情報化、公安、環境保護、衛生、品質監督検験検疫、交通運輸、鉄道、民用航空、農業の主管部門と共同で、化学品危険特性鑑別分類基準に基づき認定かつ公布し随時調整する」
今回の2015年版「新目録」ついては、国連GHSに基づいて、化学品危険性分類・ラベル規範シリーズを策定し、28種からなる化学品危険性の分類体系を確立し、危険化学品を上記第3条に基づき「毒害、腐食、爆発、燃焼、助燃等の特性を持ち、人体、施設、環境に有害となる劇毒化学品やその他の化学品」定義しています。同時に「毒劇化学品目録」(2002年版)の対象品種は過多で実情にそぐわなかったとして見直しを行っています。 「新目録」は、現行管理制度との連携、安定的な移行を前提として世界基準と統合していくことを策定原則としています。化学品分類・ラベルのシリーズ国家基準に基づき、化学品28分類95危険区分のうち危険性の大きい81区分を危険化学品の分類原則としています。
1.追加した危険化学品
2.統合調整または削除した化学品
劇毒化学品について
1.定義
有害性を持つ化学品で、人工的に合成された化学品とその混合物、天然毒素、また急性
毒性を持ち、公共安定に害を及ぼしうるものを指す。
2.劇毒急性毒性判定基準
劇毒急性判定基準:急性毒性区分1は、次の条件のうち1つ以上を満たすものとする。
ラツト実験で経口LD50≦5mg/kg、径皮LD50≦50mg/kg、吸入(4h)LC50≦100ml/m3
(気体)、または0.5mg/l(蒸気)または0.05mg/l(粉塵、ミスト)。経皮LD50の実験デ
ータは、ウサギ実験データも使用できる。
判定基準は「劇毒化学品目録」(2002年版)と比べ大きく変化している(表1)。
項目 | 新目録(2015年版) | 「劇毒化学品目録」(2002年版) |
---|---|---|
経口 | LD50≦5mg/kg | LD50≦50mg/kg |
経皮 | LD50≦50mg/kg | LD50≦200mg/kg |
吸入 | (4h)LC50≦100ml/m3(気体)、または0.5mg/l(蒸気)または0.05mg/l(粉塵、ミスト) | (4h)LC50≦500ppm(気体)、または2mg/l(蒸気)または0.5mg/l(粉塵、ミスト) |
対応する危険性区分 | 急性毒性、区分1 | 急性毒性、区分1及び区分2 |
新目録の劇毒化学品の品目数は148種で、「劇毒化学品目録」(2002年版)と比べると、187種減少している。以下にその内容を記載します。
2015年5月1日から実施されている「新目録」は、対象品目数は減少していますが、対象となる化学品は実質増加となっています。新目録では、2,828物質(劇毒化学品148品目を含む)、2998品目(同一CAS番号で複数の品目が存在するため)となっています。
2002年版と比較すると863品目減少しています。1,942品目は2002年版目録と同一で、1,056品目が2002年版目録になかった新たな品目です。
新目録においては、危険性の低いまたは議論のある製品(活性炭等)や多くの混合物を削除しており、2002年版目録に収載されていた可燃性溶剤を含む危険化学品を項番2828(引火点60℃未満の可燃性溶剤を含む合成樹脂・ペンキ・補助材料・塗料等の製品)として統合化を図っています。同時に、多くの危険化学品が初めて新目録に収載され、実質的には危険化学品管理は拡大・厳格化したといえます。
1)
http://www.chinasafety.gov.cn/newpage/Contents/Channel_21356/2015/0401/248294/content_248294.htm
(瀧山 森雄)