EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2015.12.11
第7次の附属書XIVに収載する認可対象物質の勧告案が、2015年11月18日に公告され、2016年2月18日まで意見募集が行われています1)。今回は、この勧告案の物質について紹介します。
表1に勧告案の物質を示します。主な用途は、candidate listへの収載の提案書から引用したものです。日没日は公布される附属書XIVの認可申請期限日から18カ月後とする提案になっています。
# | 物質名 | EC番号 | CAS番号 | 認可申請期限日 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1,2-ベンゼンジカルボン酸ジへキシルエステル, 分岐および直鎖 | 271-093-5 | 68515-50-4 | 収載公布後18カ月 | シーラント、潤滑剤、可塑剤 |
2 | フタル酸ジへキシル | 201-559-5 | 84-75-3 | 可塑剤 | |
3 | シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物(cisおよびtrans異性体全てを含む) | 201-604-9 236-086-3 238-009-9 |
85-42-7 13149-00-3 14166-21-3 |
エポキシ硬化剤 | |
4 | メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、全ての異性体 | 247-094-1 243-072-0 256-356-4 260-566-1 |
25550-51-0 19438-60-9 48122-14-1 57110-29-9 |
エポキシ硬化剤 | |
5 | りん酸トリス(ジメチルフェニル)(リン酸トリキシリル) | 246-677-8 | 25155-23-1 | 収載公布後21カ月 | 耐火流体、 油圧用流体 |
6 | 過ホウ酸ナトリウム | 239-172-9 234-390-0 |
(15120-21-5) (11138-47-9) |
洗濯用洗剤、食器洗い機用漂白剤 | |
7 | ぺルオキソメタホウ酸ナトリウム(過ホウ酸ナトリウム) | 231-556-4 | 7632-04-4 | 洗濯用洗剤、食器洗い機用漂白剤 | |
8 | オレンジ鉛(四酸化鉛) | 215-235-6 | 1314-41-6 | 収載公布後24カ月 | 塗料顔料 |
9 | 一酸化鉛(酸化鉛) | 215-267-0 | 1317-36-8 | ガラス原料、安定剤原料 | |
10 | 四塩基性硫酸鉛 | 235-067-7 | 12065-90-6 | 電池電極材、PVC安定剤 | |
11 | 三塩基性硫酸鉛 | 235-380-9 | 12202-17-4 | 電池電極材、PVC安定剤 |
#1、#2のフタル酸エステルは、これまでに附属書XIVに収載されている一連のフタル酸エステル類に続くものです。 #6、#7は物質名が異なりますが、NITEのCHRIPではどちらも「過ホウ酸ナトリウム」として収載されています3)。そのため、表1では#7の別名として過ホウ酸ナトリウムと表記しています。
#6のカッコ内のCAS番号はCHRIPから引用しています。また、CHRIPではこれらの物質以外に表2の過ホウ酸ナトリウムの水和物がリストされています。REACH規則では、水和物と無水物は同じ物質として扱われますので、水和物も今回の対象に含まれていると考える必要があります。
# | CAS番号 | EC番号 | 物質名 |
---|---|---|---|
1 | 7632/4/4 | 231-556-4 | 過ホウ酸ナトリウム |
2 | 10332-33-9 | - | 過ホウ酸ナトリウム・一水和物 |
3 | 10332-33-9 | - | 過ホウ酸ナトリウム一水和物 |
4 | 10486-00-7 | - | 過ホウ酸ナトリウム―水(1/4) |
5 | 10486-00-7 | - | 過ホウ酸ナトリウム・四水和物 |
6 | 10486-00-7 | - | 過ホウ酸ナトリウム四水和物 |
7 | 11138-47-9 | 234-390-0 | 過ホウ酸ナトリウム |
8 | 13517-20-9 | - | 過ホウ酸ナトリウム―水(1/3) |
9 | 13517-20-9 | - | 過ホウ酸ナトリウム三水和物 |
10 | 15120-21-5 | 239-172-9 | 過ホウ酸ナトリウム |
11 | 37244-98-7 | - | 過ホウ酸ナトリウム四水和物 |
12 | 37244-98-7 | - | 過ホウ酸ナトリウム-水(1/4) |
13 | 98701-65-6 | - | 過ホウ酸ナトリウム |
14 | 115656-07-0 | - | 過ホウ酸ナトリウム |
#8から#11までの4種の鉛化合物は、2014年の第6次の勧告案に挙げられていましたが4)、最終の勧告案から一旦削除されていました。今回改めて提案されたものです。従い、前回の意見募集時に提出された意見は、再度提出する必要はないとしています。
これまで、第4次勧告までを対象に附属書XIVには31物質が収載されています。第5次の勧告案は2014年2月に5物質、第6次勧告案は2015年7月に15物質が提案されています。 これまで勧告案が公表されてから、およそ1年半程度で附属書XIVが公布されています。第5次の勧告案が公表されてから1年半以上経過しますので、そろそろ第5次の附属書XIVが公布されるのではと予想しています。
(林 譲)
1)http://echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/title/echa-consults-on-11-substances-to-be-proposed-for-authorisation
2)http://echa.europa.eu/documents/10162/13640/7th_recom_draft_axiv_entries_en.pdf
3)http://www.safe.nite.go.jp/japan/sougou/view/TotalSrchResultList_jp.faces
4)/well/reach/column/150724.html