EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
米国の連邦法として、EU RoHS指令や中国RoHS管理方法に相当する規制は確認できていません。州法レベルですと、2007年1月1日からEU RoHS指令に類似した規制「Electronic Waste Recycling Act」がカリフォルニア州で施行されました。対象製品は4インチ以上のモニターやノートパソコン、テレビが対象とで、特定有害物質はカドミウム、鉛、水銀、6価クロムの4物質のみです。最大許容濃度はEU RoHS指令と同じカドミウム0.01wt%、そのほかは0.1wt%です。なお、PBBとPBDEはほかの法律で規制されていますので、注意が必要です。
米国の企業は、環境に配慮した製品規制への異論はなく、今後は規制が広がるとの見方をしていますが、各州でそれぞれが異なる規制をすることに憂慮していると聞いています。
州ごとに異なる規制は、日本や中国との産業競争力を失わせるとし、全米共通基準となる連邦法を歓迎するとの認識です。日本のセットメーカーごとに異なる調達基準の共通化を求めるサプライヤーの声と同じです。
ELV指令に相当する連邦法も確認できていません。
自動車関連では、例えば、メイン州法で水銀スイッチの削減プログラムが策定されています。
メイン州のホームページでは水銀規制を強調していますが、日本車はすでに水銀フリーになっているようです。
REACH規則は米国に限らず、産業界は化学産業の競争力を低下させるとして、規制の緩和にむけてのロビー活動をしています。2006年12月30日にREACH規則が公布され、2007年6月施行ですから、企業は対応を余儀なくされていると思います。
EU規制への対応は業種業態により異なります。中国はEUが最大の輸出先国で指導や情報提供を電子情報産業部が行っています。情報によれば、多国籍ブランドと国内の有名ブランドの家電メーカーは早期に対応準備を積極的に実施されています。いくつか多国籍企業はすでに1年前に対応技術を完成させ教育訓練を用意し、全生産工程中で有害物質の使用を制御しているとのことです。
一方、中小企業の中には、状況を見ていて対応に着手していない企業もあります。このような、海外情報の入手が遅れなどで、輸出企業の67%が売上高減少による損失が出ていますが、大多数の企業はまだ危機の重大性を意識していなく消極的な態度で模様見であることが心配されています。
総じて、グローバルブランド企業は対応が進んでおり、ローカルブランド企業は対応が遅れているようです。この状況は、日本を含めて世界共通の状況に思えます。