ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2008年6月30日更新
Q.29 弊社は化学品メーカーではありませんが、鋳物や板金などの材料を年間1t以上欧州へ輸出しています。このような場合、REACH規則では、化学品メーカーでなくても対応が必要になるでしょうか?また、REACH規則では鉱物・鉱石は化学物質に含まれないが、鉄・アルミなどの金属は化学物質に含まれると聞いていますが、弊社のような材料はどのように考えればよろしいのでしょうか?

まず、2番目のご質問から説明します。REACH規則では、欧州化学品庁に登録されていない「物質(Substance)」はEU域内で製造・輸入することはできません。REACH規則の定義は下記のようになっています。

物質(Substance)

  • 自然状態または製造プロセスによって得られる元素およびその化合物
  • 安定性を確保するための添加剤および使用されるプロセスに由来する不純物を含む
  • その物質の安定性に影響を与えず、またはその組成を変えずに分離される溶剤は含まない

調剤(Preparation)

  • 2、またはそれ以上の物質からなる混合物または溶液
  • 合金は調剤である。
  • 調剤は登録する必要はない。調剤中の物質は登録対象となる。

成形品(Article)

  • 成形品の定義は、1またはそれ以上の物質または調剤からなる物体
  • 製造中に、化学合成物よりもはるかに大きな程度で、最終用途の機能を決定する特定の形状、表面、またはデザインが与えられるもの
  • 登録対象物質は成形品から意図的に放出する物質となる

REACH規則では、附属書IV、およびVに登録義務が免除されている物質が掲載されています。その中に、ご質問の鉱物・鉱石があげられていますが、化学的処理がなされていないことが条件です。鉄・アルミなどは、鉱物・鉱石を化学的処理されて製造されますから、年間1t以上を製造・輸入される場合は登録義務があります。また、アルゴン、炭素、水、グラファイトカーボンなども登録が免除されています。

次に1番目の鋳物や板金の材料について説明します。輸出する材料は輸出先で加工されますので、物質または調剤に該当します。

鉄/炭素を主成分のとする鋳物材料については成分の鉄は登録対象ですが、炭素は登録対象から除外されています。板金材料についても、その成分それぞれが登録対象になります。混合物からなる鋳物材料や板金材料そのものは登録対象ではありません。

登録の義務についてですが、例えば、原料の鉄をEU域外の企業、例えば日本国内の企業から購入し、購入先のメーカーで登録されておらず、輸出する材料に含まれる鉄の総量が年間1t以上だと、輸入元あるいは貴社が任命する「唯一の代理人」で登録が必要になります。

ほかの物質についても同じ扱いになります。すなわち、輸出する材料の種類、品種に関係なく、それらの材料に含まれる物質が同じであれば、その総量が年間 1t以上になりますと登録義務が発生します。鋳物材料だけ、あるいは板金材料だけに含まれる物質の量を個々に判断しないことにご注意ください。

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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