EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
サプライヤー(川上企業)は川下ユーザーにリスク評価情報を安全データシート(SDS)で伝える義務があります。よって材料のリスク情報などは基本的にSDSで入手することになります。SDSで記述されている項目は、日本ではMSDSとして定着しているものと同じですが、曝露管理の項目が含まれています。
REACH規則第37条で川下ユーザーは川上に特定使用情報を提供する権利が認められています。川上企業はこの特定使用に関するリスク評価を第14条により実施しなくてはなりません。第14条は化学物質安全性報告書(CSR)作成義務で、この中で曝露シナリオによりリスク評価をして、SDSでリスク管理をすることを推奨しています。SDSの8項には、曝露シナリオのによる曝露管理情報が記載され曝露シナリオはSDSの付属書として添付されます。SDSの8 項には、次を記述します。
合金は、その性状が構成成分の性状に単純に合致することにならない特殊なものであっても、REACHの下では調剤に該当します。調剤合金は登録する必要はありませんが、その一方、それらの構成成分である金属が、製造量または輸入量において1t以上であれば登録が必要となります。
しかしCSRは、調剤に含まれる物質の濃度が、第14条2に示される上限を下回っている場合は必要とされません。もしある構成成分について、CSRを実施する必要がある場合には、それらの成分が、合金相中で、固溶体を形成しているか、金属間化合物が生じていないかなどを考慮する必要があります。
欧州委員会は、産業界、加盟国、そのほかの関連する利害関係者と密接に協力しつつ、REACH下の要件を履行するために、調剤に関し合金の素材となる金属のように特殊な調剤の素材となる物質の評価を含んだガイダンスを、特に曝露シナリオを含むSDSに関して作成することとしています。
冒頭で書いたとおり、REACH第31条において、物質または調剤の供給者は、(a)物質または調剤が、指令67/548/EECまたは指令 1999/45/ECに従って、危険性の分類基準に該当する場合。(b)物質が、付属書?に定める基準に従って、難分解性、生体蓄積性および有害性、またはきわめて難分解性で高い生体蓄積性である場合。(c)物質が(a)、(b)以外の理由で、第59条(1)に従って作成されたリストに含まれている場合には、付属書?に従って作成したSDSを川下ユーザーに提供しなければならないとされています。
また、同条第2項において、第14条または第37条に基づき、物質に対する化学物質安全性評価の実施を求められるサプライチェーンにおけるあらゆる関係者は、SDSの情報がこの評価情報と一致していることを確保しなければならないとされています。調剤についてのSDSが作成され、サプライチェーンの関係者が、その調剤について化学物質安全性評価を作成する場合には、そのSDSの情報が調剤に含まれる各物質についてのCSRではなく、調剤のCSRと一致していれば十分とされています。