2008年5月に発表された「成形品のガイダンス」(注1)では、ご質問に関する解説があります。その概要は下記のとおりです。(回答者意訳)
- 成形品中の物質の登録/届け出は、その用途について届け出されていれば、要求されない。その物質の用途の登録は、同一サプライチェーンでも異なるサプライチェーンでよい。ただし、同一の物質での登録であることを確認する必要がある。名前や、EINECS番号、CAS番号が同じでだけで、同一であることにはならない。
- 登録では、特定された用途の概要の情報を提出する。この情報提出に関しては、標準的な記述システムで成形品に関する用途をカバーするようにIUCLID5に組み込まれている。
- この標準的な記述システムは、用途の情報伝達と記述を容易にするために開発された。工業的セクター、調剤のタイプ、プロセス、成形品カテゴリの4要素から成り立っている。さらに、このシステムでは、意図的放出有/無を区分する。IUCLID5では、標準的なピックリストとして組み込まれている。
- 成形品の登録・届出者は、その物質がどのようなプロセスで成形品に入れられたか、どのタイプの成形品入れられたかを、この用途記述システムに沿ってチェックする必要がある。もしそうでなければ、その用途で登録されたことにはならない。
- 最も遅い登録は2018年になるので、成形品の登録・届出者がその用途が登録されているかチェックしたいときには、まだ登録されていないかもしれない。
- そのためには段階的導入物質については予備登録をしておくことが望ましい。非段階的導入物質について化学品庁に登録の有無を問い合わせることになる。
以上のように、ご質問で述べられていますように、サプライチェーンに関係なくその用途で登録されていれば、成形品の製造者/輸入者は登録・届出の義務はないことになります。ただし、物質が同じであること、登録された用途が、登録されている用途と同じであることを確認する必要があります。
また、すでにその用途が登録されていれば、登録・届出は必要ありませんので、条文上は、成形品中のその物質のトン数が、登録されているトン数を上回ったとしても追加情報は要求されないと解釈できます。