EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
一般的には機械類は成形品として扱われます。成形品には下記の2つの義務があります。
通常の使用状態および予想される使用状態で意図的に年間1t以上放出する場合であって、その使用が登録されていなければ登録の義務があります。
成形品にSVHCが0.1wt%以上含有し、年間1t以上の場合であって、その使用が登録されていなければ届出の義務があります。
しゅう動部品の摩耗やマシンオイルの消耗が意図的放出になるかが論点になります。
しゅう動部品の摩耗やオイルの蒸発は、成形品からの放出(リリース:離れる)になります。この摩耗や蒸発は通常または予想される使用条件での意図した放出であるかが解釈の分かれるところです。意図的、非意図的の解釈はケースバイケースであり、RIP3.8の事例でも論議が続き、解釈例が変わっています。
意図的放出の基本的概念は、その放出がその製品にとって機能を発揮するうえで不可欠なもの(価値)です。フェルトペンのインクに代表されるように、インクの放出がフェルトペンの不可欠な機能です。
しゅう動部品の摩耗では、この摩耗が機能上不可欠かとうことになります。しゅう動部品の強度を若干弱くして、相手部品の摩耗を防ぐから、意図的であるとの解釈もあります。自動車業界では、しゅう動部品であるブレーキライニングやブレーキパッドの摩耗が意図的か、非意図的が検討されています。日本、韓国やドイツなどの自動車工業会が共同でREACH対応マニュアルを作成しています。それによりますと付随的な放出であって、意図的放出にあたらないと主張しています。この解釈はあくまで業界の意見であり、法的解釈ではありません。
(http://www.acea.be/images/uploads/files/20080207_AIG-REACH_V2.pdf)
マシンオイルは解釈の分かれるところです。機械の機構についての詳細なことが分かりませんので、判断はできないのですが、一般的にはマシンオイルの減少がある場合は意図的ば放出ではなく、付随的な放出になると思います。
オイルパンのオイルがあれば、これもよく話題になります。自動車のギヤオイルのように、密閉した状態で使用し、メンテナンス時に取り出す場合は、意図的放出にはならないようです。
また、オイルレス軸受けのように、芯材にオイルを含浸させ浸みださせるような場合は、そのオイルが意図的放出になる可能性があります。
意図的放出に該当しない場合であっても義務はあります。非意図的であっても、環境への放出や作業者への付着などで、環境とヒトへのリスクはあります。
しゅう動部品やマシンオイルの構成物質は、機械に使用することによるリスク評価がされていることが必要です。この用途がSDSで知らされた用途に合致していること、リスクマネジメント措置を実施することは要求されます。
Q.78で説明しました、SVHCが機械に0.1%を超えて、かつ、1t以上含有する場合は、届出義務が発生します。これらの物質は、現時点ではリストされていませんが、2008年秋に発表される予定になっていますが、届出義務は、2011年6月からとなっています。
また、成形品にSVHCが0.1%を超えて含有する場合は、下記の情報提供義務があります。
この情報提供義務は2007年6月1日から発生していますが、物質が特定されていないので、現在は情報提供をできない状況です。ただし、iiについては、問い合わせに対しては、SVHCが特定されていないので不明という回答しかできませんが、現時点でも、何らかの対応をしなくてはならないと考えます。