EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則における物質の予備登録が完了すると予備登録番号が付与されます。この予備登録番号は、予備登録した企業と予備登録物質に固有の番号となります。しかし、この予備登録番号は、ECHA(欧州化学品庁)より予備登録者以外に公開されることはありません。
したがって、必要があれば、貴社とサプライヤーとの取引契約などで登録を行うことを確実にし、EUの輸入業者に対しても、取引契約などで登録義務の条項を入れることを考えます。
なお、成形品中に含まれる物質の「サプライチェーン内での情報伝達義務」を整理しますと、次のようになります。
(1)SVHCが含まれている場合(意図的放出であるかどうかにかかわらず)
2008年10月28日にECHAよりSVHC(高懸念物質)が告示されましたが、REACH規則では、成型品にSVHCを0.1wt%を超えて含有する場合は、その成形品の供給者は川下企業に対してその成型品の安全使用を可能にするのに十分な情報(少なくとも物質名を含む)を提供する義務があります。
また、消費者から求めがあった場合には、45日以内に無償で、最低限当該物質名を含む当該成形品を安全に使用するための十分な情報を提供しなければならないことになっています。
さらに2011年12月1日からは、その物質が成形品中に0.1wt%以上の濃度で成型品中に存在し、なおかつその物質が生産者または輸入者が扱う成形品中に1年あたり1t以上存在する場合、ECHAへの届出の義務が発生します。
しかし、処分を含む通常または当然予想される使用条件下で、ヒトまたは環境への暴露を排除できる場合は、届出は必要ないことになっています。しかしその場合でも、前述同様に成形品の安全な使用を可能にするに十分な情報を川下企業に提供しなくてはならないことになっています。
(2)SVHCが含まれていない場合
意図的放出物質がSVHCでない場合は、川下企業(EU域内の輸入者)に対してその物質に関する情報提供義務は発生しません。しかし、川下の輸入業者からの問い合わせがあった場合には、下記のような情報を提供することが望ましいと考えます。
以上の情報提供を行うために、貴社は以下のような準備をすることをお薦めします。
貴社は川上企業にその意図的放出物質を登録していただけるわけですから、基本的には登録義務はありません。しかし、川上企業に貴社の用途を特定し知らせる必要があります。それを怠ると、登録の内容に貴社の用途が盛り込まれない可能性がありますので注意が必要です。そのためには、貴社は川上企業がその用途を登録するのに必要な十分な情報を提供する必要があります。
また、川上メーカーが予備登録した内容については可能な限りSDSなどによる情報提供を求め、川下企業からの問い合わせに備え貴社でその情報を管理する必要があります。