EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
(1)認可対象物質=高懸念物質(SVHC:substances of very high concern)ではありません。認可対象物質 はCandidate List of Substances of Very High Concernに収載されたSVHCから特定された物質で、附属書XIV(認可の対象となる物質のリスト)に収載される物質です。
高懸念物質とは第57条の基準に該当する物質で、67/548/EECのCMR物質のカテゴリー1およびカテゴリー2の分類基準に該当する物質、PBT物質、vPvB物質、科学的根拠により人の健康や環境に対して前記の物質と同程度の深刻な影響をおそらく与えると特定される物質です。
附属書XIVに収載される候補物質の最初のCandidate Listは、次の 15物質です。
詳細はECHAのWebサイトを参照してください。
なお、以下の用途に使用される場合は認可の適用除外となります。 研究開発の用途、植物保護製品、殺生物性製品、ガソリンおよびディーゼル燃料など自動車燃料、可動式または固定式燃焼プラントにおける燃料、化粧品としての使用、食品包装容器としての使用、調剤中のPBT物質、vPvB物質、内分泌かく乱性物質の濃度が0.1wt%未満での使用、そのほかの物質については、指令67/548/EECに規定された調剤中の濃度未満での使用。
(2)認可、制限はEU域内で製造される成形品に含まれる物質に適用されますが、EU域外から輸入される成形品は認可の対象にならないということも言われています。また、REACH規則とRoHS指令、ELV指令は同じEUの理事会指令にに基づいており、整合性があると考えます。
製造者、輸入者、川下ユーザーは認可されている物質が成形品に組み込まれている場合に、上市や自らの使用が可能ですが、認可されていない物質が組み込まれている場合は、上市や自らの使用ができない場合があります。しかし、経過措置として日没日に達していない場合、また、日没日に達しているが、その期日の18ヵ月前に、製造者、輸入者、川下ユーザーにより認可の申請がなされているものの決定がまだ下されていない場合は、その物質の上市、または自らの使用が可能になります。
また、制限は成形品に含まれる物質について、制限条件に該当するときは製造、上市、使用ができないとしています。ただし、科学的研究開発における試験研究のための物質や化粧品には適用されません。(成形品の認可について2008/9/12コラム「REACH規則で成形品に認可が必要か?」をご参照ください)
REACH規則による認可・制限の対象物質は、67/548/EEC・1999/45/EC・76/769/EECに基づいています。
この指令76/769/EECの最大許容濃度に基づいて、共通の条件として、RoHS指令、ELV指令は、製品ごとの均質材料当たりの最大の含有濃度が規定されています。
(3)附属書XIVに記載される認可対象物質は、附属書XVIIに記載されている物質から特定される可能性はありますが、その物質のすべての用途が制限に基づき禁止されている場合は認可対象物質にはなりません。
67/548/EEC「化学物質の分類と表示に関する指令」または1999/45/EC指令によるデータを元に、制限するものとして施行された指令が76/769/EEC「危険な物質および調剤の上市と使用の制限に関する指令」です。
この76/769/EEC指令は、上市および使用の状況によって異なる、EU各加盟国の規則によって規制される危険な物質および調剤の加盟国内の法律の近似化を行ったものです。
この指令の附属書Iの29項、30項、31項には、67/548/EECのCMR物質(発がん性物質、変異原生物質および生殖毒性物質)のカテゴリー1およびカテゴリー2として分類された物質が指定されています。
また、附属書XVII(ある種の危険な物質、調剤及び成形品の製造、上市および使用の制限)に収載される制限対象物質は、76/769/EECの内容を引き継ぐものです。
REACH規則ではSVHCの管理を、認可、制限の両方で行うことになります。