EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則における成形品中の物質の濃度計算は、成形品の各構成素材に含まれる物質をすべて対象にしなければなりません。したがって、貴社が部品Aに関してSVHCを含有していることを把握しているのであれば、コンプライアンス(法令等の遵守)上そのデータ(部品Aの含有量)を計算に含める必要があることになります。
しかし、REACH規則では、SVHCが0.1wt%以下の場合には、情報提供する義務がないことから、ご質問のようなケースを想定されたと理解し、取り得る対応策の面から回答させていただきます。
類似のFAQが「ここが知りたいRoHS指令」のQ160にありますので、これもご参考にしてください。
多くの部品を購入して、それらをアッセンブルして成形品を製造・輸出されている場合、サプライチェーン管理システムを構築することが重要になります。その一つは、購入部品の調達条件を購入先と契約書で取り交わすことです。ご質問のようなケースが起こるの可能性があるのであれば、REACH規則で要求されるSVHCの0.1wt%以下の含有情報の提供を、購入条件に入れることも一方法だと考えます。
あるいは、将来、Candidate listsのSVHCから認可対象物質が決められることを考えますと、コンタミネーションであったとしても、成形品全体のSVHCの含有率を規定される閾値以下(例えば、0.1wt%以下)に管理する必要があります。そのためにも、貴社の品質規格に合わせ、購入部品の品質基準を明確にする必要があります。
また、2008年5月に発表された「Guidance on requirements substance in articles」では、成形品中のSVHC濃度0.1wt%を成形品の全重量に対して計算する方法に対して、EU加盟国中6カ国が反対意見を表明し、0.1重量%の閾値は成形品の部品または材料に適用すべきであると主張しています(詳細は、2008年9月19日コラム「成形品に含まれる高懸念物質の濃度基準」を参照ください)。
SVHCを含有する可能性のある部品に関してはこのことも考えて、サプライチェーン管理のシステムを構築されることが必要と考えます。